演じる役は複雑な気持ちを抱える人物
――繁行という役どころをどんな気持ちで演じましたか?
僕自身、余命を告げられた経験がないので、その状況にならないと分からないことはたくさんありますが、ゆり子がしたいことをかなえてあげたいという気持ちと、もっと一緒にいる時間を作りたいという葛藤の中で演じていました。
繁行の本音としては一緒にいたいという気持ちの方がウエイトは高かったと思いますが、実家に帰らずに一緒にいられたとしても、それは自己満足にしかならない。彼女の意思を尊重してあげる方が大事だと思いつつ、本当のところは一緒にやりたいことがいっぱいあったのではないかな。しかし、彼女(ゆり子)の人生の主人公は彼女なので、彼女の意思を尊重することが大事。背中を押すというよりは、やむなく一歩引く状態だったと考えました。
――この作品では、日常の尊さを示すように料理を作ったり、食べたりするシーンがたくさん登場します。調理や食事の大切さをどう感じていらっしゃいますか?
食べることって、大事なことだなと思います。体を作ることでもありますし。だから、常日頃から食べることに関しては考えています。オーガニックしか食べないとかいうわけではないですが、化学調味料を使っていないものを選んだり、自分なりに気を付けています。
それから、一緒に料理を作ることも当たり前のようで簡単じゃないと思いますし、誰かと一緒にごはんを食べるということはかけがえのないことだとも改めて感じました。