朝ドラ名物“いじめキャラ、”時代に合わせ“実はいい人”に変化「おちょやん」千鳥「半分、青い。」秋風など振り返る
平成に入ると“嫁いびり”少なく
この千鳥にようにヒロインをいじめるキャラは、朝ドラには珍しくはない。頻繁にそういうキャラが出てくるといっても過言ではない。若村麻由美は、「純と愛」(2012年度後期)でもヒロイン純(夏菜)に意地悪する役をやっていた。「純と愛」の場合は、若村が演じた役のみならず、ヒロインに辛く当たる人物がとても多く、これはこれで朝ドラには珍しいパターンであった。
たいていはひとり、印象に残る意地悪キャラが出てくる。姑や小姑、学校の先生や同級生、会社の上司などが悪役を担うことが多い。代表的なのは、「おしん」(1983年度)の姑(高森和子)。ヒロインおしん(田中裕子)にとにかく辛く当たり、演じている俳優まで視聴者に嫌われてしまったという伝説が残っている。嫁いびりする姑は昭和のドラマの定番だった。
それが平成に入ると、親と同居する生活が減ってきて、徐々に嫁いびり描写は少なくなっていく。「ごちそうさん」(2013年度後期)の小姑(キムラ緑子)のヒロインめ以子(杏)虐めがなかなか辛辣で話題になったのと、「マッサン」(2014年度後期)のヒロイン・エリ−(シャーロット・ケイト・フォックス)の姑が、おしんの優しい母を演じていた泉ピン子が真逆の意地悪姑を演じていたことで注目された。
学校や会社の関係者もいやがらせを…
意地悪な他人だと、「おひさま」(2011年度前期)のオクトパスこと飯田先生(近藤芳正)。ヒロイン・陽子(井上真央)の女学校の英語の先生が口うるさい人だった。
「とと姉ちゃん」(2016年度前期)のヒロイン常子の就職先の総務課長(田口浩正)は男女差別の激しい人で、女子社員をあからさまに軽視した。また、電機メーカー社長(古田新太)は後半のラスボス的存在で、雑誌で製品の性能テストをやっている常子たちにいやがらせをした。これはとてもわかりやすい悪役だった。
「べっぴんさん」(2016年度後期)のヒロインすみれ(芳根京子)の女学校の同級生の悦子様(滝裕可里)も最初はお高く止まって威張っていた。
いずれも、ちょっといやな感じというくらいで、見ていて辛くなるほどの虐めはない。最初は意地悪だったけれど、じょじょに味方になっていくというパターンもあって、その大成功例は「スカーレット」(2019年度後期)の大久保さん(三林京子)。ヒロイン貴美子(戸田恵梨香)が大阪で女中修行する際、仕事を厳しく教え込む。厳しさの裏の愛情が大人気で大阪編が終わったあとも再登場を強く望む声が頻出した。