“信長”海老蔵、“濃姫”広瀬すずとの年齢差に不安も「全て受け止める貫禄を感じた」
市川海老蔵、広瀬すずの対談全文
――信長、濃姫を演じてみての感触、手応えを教えてください。
海老蔵:織田信長は誰もが知っている歴史上の人物であり、最も人気のある武将です。その人間性も含めて、とても分かりやすい人物と思われていますが、実は奥深い魅力がある方だと私は感じています。そういった部分を出せるように演じました。
広瀬:濃姫には、強いのにはかなさを感じさせる瞬間があるんです。それがにじみ出るように演じたいと思っていました。
――「桶狭間」で描かれている信長、濃姫の魅力をどこに感じていますか?
海老蔵:この作品は青年期がしっかりと描かれている物語になっています。たとえば義父である斎藤道三(佐藤浩市)に会いに行く場面。若く弾けるようなエネルギーを感じました。それと同時に、やはり頭がいいからこそこんな風に動いたり人と接したりするのだろうという描写もあり、とても興味深かったです。もちろん感情的なところもあったとは思いますが、今回は知的な部分が多く描かれています。そこに若さの魅力が加味すればいいなと思います。
私自身、今まで“桶狭間の戦い”をよく分かっておりませんでしたが、この作品の信長は今川義元(三上博史)に会って“おまえの顔が見られるか見られないかがこの勝負なんだ”と告げる場面があります。つまり信長にとっては会えなかったら負けで、会えた時点で勝ちだったのです。普通に考えればこんな小国が勝てるわけがありませんが、そんな戦いに向かって行く若いエネルギーを表現したいと思いました。
広瀬:濃姫に対して最初に感じたのは強い女性だなということでした。戦国時代に“男前で格好いい”女性はなかなかいなかったと思いますが、その格好良さを持っている人だと台本を読んで感じました。
海老蔵:濃姫は信長の唯一の理解者だということは感じました。
広瀬:はい。私も感じました。
海老蔵:そのことが信長にとって救いになった気がします。信長はどうしても一人で突っ走ってしまうイメージがありますが、嫁である濃姫だけはちゃんと分かってくれているし、分かろうともしてくれる。その気持ちがとてもすてきだなと思います。
――初共演ですが、お互いの印象を教えてください。
海老蔵:役の中ではありますが、こんなに年の離れたかわいらしい方が自分の妻になるという感覚に慣れるのに少し時間が必要でした。二人で話す場面に違和感が出るのではないかと心配もありましたが、そういうことも含めすべて受け止める貫禄を感じて大丈夫だなと、真っ直ぐに見つめて芝居させていただきました。そうすると、広瀬さんも真っ直ぐにぶつかってきてくださいました。
信長は人前では何も言わなかったり、面倒な振りをしてみたりと、いろいろな手法を使って人と接しますが、濃姫の前だけは素直でいられるのです。真っ直ぐな濃姫だったから、真っ直ぐな信長でいられました。きっと広瀬さん自身も真っ直ぐな人なのだろうと思います。今回は共演時間がそれほど長くなかったので分からないことも多いですが、とにかく食べることが好きなのだということだけは分かりました(笑)。
広瀬:分かりましたか(笑)。
海老蔵:食べ物の話がお好きそうだったので、合間はどこの店がおいしいとか、そんな話をしましたね。
広瀬:はい。海老蔵さんは、目がとても印象的でした。海老蔵さんの目の開き方やふとしたまばたき、ちょっとした動きひとつも意味があるように感じてしまうんです。だからこそ一層寄り添いたい、もっと知りたいと思わせるのだと思いました。
――撮影合間に楽しそうな話し声が聞こえてきました。
海老蔵:みなさんがリラックスして現場に臨めるように心がけていました。もちろん緊張も大事ですが、ずっと緊張していると疲れてしまう。初日の撮影でお茶漬けを食べる場面や“敦盛”を踊っている時に現場の空気がピーンと張り詰めていて、これがずっと続いたらみなさんもたないなと思い、少しでも楽しくなればいいなと考えました。あとは濃姫を演じられる広瀬さんのことを少しでも分かっておきたいと思い、いろいろと話をして、ある程度のことは把握しました(笑)。
広瀬:観察されていたと思うと恥ずかしいです(笑)。
「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」
3月26日(金)夜9:00-11:32
フジテレビ系にて放送