秋山黄色、アルバム『FIZZY POP SYNDROME』リリース！「部屋はめちゃくちゃ散らかってるんですけど(笑)、曲は死ぬほどＡ型なんです」
現状自分が持ってる技術でお金になる可能性があるのって音楽だけだなって思って進路変更したんです
１曲目の爽快なギターロック曲「LIE on」では、嘘を軸に、自身の生き様や存在証明を歌う。
「こういう洋楽っぽい発音の歌とか、メロコアみたいな音楽性は好きなのに、あまりやったことないなって思って比較的最近作ったんです。だいぶお気に入りですね。作っているときに、アルバムの１曲目っぽいなって思って。
というのも、歌詞では嘘についていろいろ書いてるんですけど、僕は昔からリアル感にこだわっていて。今はいろんな人の曲を好意的に聴けるんですけど、中高生のときはリアルに思えない曲が嫌いで。そういう自分みたいな人間をリスナーとしてこぼさないために意識していて。リアルなのが良い悪いってことじゃなく、リアルにすることが、自分が届けたい人に対してのドレスコードだと思ってるんです。でも別に俺も嘘つかない訳じゃなくて、ついていい嘘とついちゃいけない嘘をはっきり自分で理解しようっていう。なので、『LIE on』では『嘘を自分でコントロールしてます』ってことを言いたかったんです。
そういう風に都合よく考えてますよって最初に言うことによって、聴き手も肩肘張らないでアルバムを聴けるかなと思って。あくまでポップスとして作っているアルバムだから、聴けない層が生まれるのが嫌だなっていう。プロ意識みたいなことですかね（笑）」
アルバム後半に据えられた、乾いたブルース感のある「ゴミステーションブルース」では、音楽への強い思いを綴る一方で、音楽に対する周囲の厳しい視線が歌われている。
「これは現状発表している曲の中で、一番古い曲ですね。高校生のときに作った気がする。俺学生時代、全然勉強できなくて、数学のテストでうまくいけば２点取れるみたいな状況だったんです（笑）。高一で軽音部に入ってべースを始めて、高２でバイトを始めるんですけど、バイトも全然だめだったんです。５年間飲食店のホールやったんですけど、最後まであまり仕事できなかったし、楽しいと思うことなんて１ミリもなくて。ギリギリ続けられてたけど、これを就職という形にしたら、俺が壊れちゃうか辞めちゃうかどっちかだなって思ってたんです。それで、高３でいざ進路どうするかってなったときに、この職に就きたいとかなかったから、国家資格が欲しいという発想で看護学校に願書出したんです。でも卒業式の直前に急に不安になって。俺バイトもちゃんとできないのに、看護なんて絶対できないと思って。それに、家にめちゃめちゃ借金があって経済的に苦しい状況で。
それで、現状自分が持ってる技術でお金になる可能性があるのって音楽だけだなって思って進路変更したんです。だから、根底に『これでダメだったら終わり』って気持ちがありながら、曲を作ってたんです。それでYouTubeに曲をあげ始めたぐらいから、信じられないくらい周りから迫害されたんです(笑)。他のアーティストの方と話すと、俺のいた場所があまり良くなかったんじゃないかって今になって思うんですけど。
あと俺もそんな良い人じゃないし嫌われてたんだろうなとも思うし、生活を担保できる本業をしながらだったら、また違ったと思うんですけど。栃木の僕の地元って世間が狭くて、すぐに話が回って、『こいつ急に曲なんてあげちゃって』って感じでスーパーバカにされて。『ゴミステーションブルース』の歌詞に書いてあること、リアルに言われましたからね（笑）。
でも今こうやって笑いながら話してるということは、許してるってことだと思うんです。今は、地域として地元を見るのはやめて、個人的に恩がある人とのつながりを大事にしようって思って。それで、今だににライブハウスでお世話になった人とか対バンした人とかと連絡取ってるし。ツアーも、いろいろ調整してでも最後、宇都宮でやれたらいいなって思ってるんです」
収録曲●LIE on／サーチライト／月と太陽だけ／アイデンティティ／Bottoms call／夢の轍／宮の橋アンダーセッション／ゴミステーションブルース／ホットバニラ・ホットケーキ／PAINKILLER
あきやま・きいろ＝1996年3月11日生まれ、栃木県出身。
作詞、作曲からジャケットアートワークまでを手掛ける。
2020年3月にメジャーデビュー。アニメ「約束のネバーランド」Season2オープニングテーマ「アイデンティティ」が発売中。現在、6/4(金)まで続くツアー「一鬼一遊 TOUR Lv.2」を開催中
公式HP
https://www.akiyamakiro.com/
