私は50歳の長瀬くんの芝居も見たいですね
――最終話の撮影を行っている現場での長瀬さんの様子はいかがですか?
「寂しくなってきた」という、感じですね。西田さんと長瀬くんの二人のお別れのシーンでは、目と目が合うだけで二人とも泣いちゃって、感傷的な感じでした。でも、面白いシーンの撮影の時は、爆笑しながらやっているので、楽しそうでもあります。
プロレスと能の大きなシーンの撮影はだいぶ終わったので、精神的にも少し楽になったのではないかな?と思っています。
――磯山さんの中で今作の「俺の家の話」は、長瀬さんの集大成という感覚はあるのでしょうか?
長瀬くんは「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)の時が21歳で、「タイガー&ドラゴン」の時が27歳、「うぬぼれ刑事」(2010年)の時が32歳で、今、42歳なんですけど、その時々で異なる年齢に合った表現や演技を見せてきてくれました。
本人はあまり意識していないと思うんですけど、今まで経験を積んできたことを全部出してくれていて、42歳ならではの良い部分が出ているなって思います。今作が「最高傑作」って言うと、今後もう見れない気がしてしまうし、私は50歳の長瀬くんの芝居も見たいですね。
――これまでのシーンで磯山さんが印象に残っているシーンや、心に残っているシーンがありましたら教えてください。
1番楽しかったのは「潤 沢」のステージですね。本当に楽しかったです。心に残っているのは、第9話で、寿三郎の枕もとに立った“スーパー世阿弥マシン”が「肝っ玉!しこたま!さんたま」って言うシーンが、出演者全員でエールを送っているみたいですごく良かったなって思いました。
――最終回に向けて改めて注目して欲しいポイントがありましたら教えてください。
最終話は、「隅田川」というお能の演目をきちんとやるのですが、第8話からずっとその演目の練習を物語の中でしていて、それが最終話に向かっていきます。
お能の演目とドラマの内容をリンクさせるのはとても難しかったのですが、「隅田川」という演目は、“親子の生き死に”をテーマとして取り扱っているお話なので、それがすごく効果的になったんじゃないかなって思います。
あとは、家族が茶の間で食事をするシーンで、寿一が「いただきます!」と言うことが、“長男っぽい”というのがこのドラマのテーマでもあって、そこも最終回に向けて1つのフックになっているので、見逃さずに見ていただければと思います。
――お話にもあった食事のシーンが毎話、とても印象的なのですが、何かこだわっている部分はあるのでしょうか?
宮藤さんは「あんな大人数で食卓を囲むことなんて、今どきドラマの中でしかないから」と、言っていたのですが、そういうのもすごく意識していますね。わざとみんなが違うことを考えている食卓というのも描いていて、幸せな記憶と家族の食事はひもづいているのかな?って、思っています。