「陽月華さんは宝塚時代のキャリアも存じていた上でオファーした」
――第2話でメインとなった生徒は、渡邉蒼さん演じる間幸喜でした。彼の母親役・陽月華さんは、劇中で出てきた映画「雨に唄えば」のヒロイン役を宝塚時代に務めていましたよね。そういったキャスティングの遊び心みたいなものも、このドラマの魅力の一つだと感じます。
渡辺:陽月さんという役者の佇まいやお芝居が好きだからというのが大前提なのですが、もちろん宝塚時代のキャリアも存じていた上で、オファーさせていただきました。僕、ミュージカルが大好きなんですよ。
それで言うと、僕は「なつぞら」のときにダンスシーンの準備を担当していたのですが、幸喜役の渡邉蒼くんは、主人公・なつの兄である咲太郎の少年時代を演じ、闇市でタップダンスを披露しています。そんな渡邉蒼くんが、映画「雨に唄えば」のジーン・ケリーのタップダンスを画面越しに見てるというシーンも、ちょっとした遊び心かもしれません。もちろん、彼の実力と役柄にあっているということでキャスティングしているのですが。
――そんな渡邉さんをはじめ、生徒たちの配役は何を基準に決めたのでしょうか?
渡辺:生徒役は基本的にオーディションで選ばせていただきました。20代の方もいるのですが、選考基準として最も重要視したのは、“10代感”です。少し上の世代の役者さんを10代っぽく見せるのではなく、そこにいるだけで10代の高校生だと思えるような方。たとえ、お芝居がやや粗削りだったとしても、10代っぽい佇まいや雰囲気を最優先しました。また今回のオーディションだけでなく、他の作品でのオーディションやお芝居、存在感など、総合的な印象も加味して決めています。
尾崎:“10代感”を意識した理由としては、ドキュメンタリー性というか、今の高校生たちにとってのリアルな悩みや問題を等身大に描きたかったからです。作中のこの子たちが、現実世界でリアルに生きているような感じにしたかった。オーディションを行う最初の段階では、10代だけでなくキャリアを重ねられた20代前半の方々にも来ていただいていました。でも、オーディションを重ねていく中で、このドラマを一番表現できて伝えられるのは、10代の方たちが中心となったメンバーではないかと思い、それが徐々に確信に変わっていったという感じです。
――では、なぜ高柳役を山田さんに?
渡辺:山田さんは、高柳だなって。「なつぞら」で約1年間ご一緒させていただいた中で、山田さん演じるヒロイン・なつの同級生で幼なじみの小畑雪次郎が、劇団の稽古を通して徐々に芝居が上手くなっていくというシーンがあったんですよ。それを短い時間の中でどう表現するかについて、山田さんとずっと議論してたのが、すごく面白かったんですよね。作品は完成したけど、山田さんとの議論は最後まで終わらなくて続いたままだったんです(笑)。そういった、何か一つの物事をいろいろな角度から見て考え尽くすというところが、高柳と共通している気がしました。
毎週土曜夜11:30-0:00
NHK総合にて放送