<おちょやん>井川遥“百合子”との別れは美しく…「メーテルみたい!」の声も
杉咲花がヒロインを務める連続テレビ小説「おちょやん」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は一週間の振り返り)。3月25日放送の第79回では千代(杉咲)の人生に深くかかわった2人、高城百合子(井川遥)と小暮真治(若葉竜也)との別れが描かれた。(以下、ネタバレがあります)
「百合子さん、おおきに」
千代と身寄りのない少年・寛治(前田旺志郎)の交流が描かれている第16週「お母ちゃんて呼んでみ」(第76~80回/3月22~27日)。第77回では小暮(若葉竜也)と百合子(井川遥)が泊まる場所を探して千代と一平(成田凌)の家にやってきた。
かつて、百合子は千代に「そんなにお芝居が好きなら、自分でやってみたら?一生一回、自分が本当にやりたいことを、やるべきよ」と語り掛けて背中を押し、撮影所の大部屋女優時代には、千代が飛躍するきっかけまでも与えてくれた。そして、小暮は千代の初恋相手であり、千代にプロポーズまでした人物。
そんな2人は結婚し、表現の場を舞台に見いだしていた。だが時局柄、2人の志す演劇は当局の方針と合わず、特高警察に追われる身となっていた。千代の機転のおかげで警察から逃れ、2人は早朝、千代の家を出た。北に向かい、ソ連に亡命するという。
「小暮さん、百合子さん、お元気で」と万感の思いで言葉をかけ、深々と頭を下げた千代。百合子は振り返り、無言で千代を抱きしめた。
第34回では、千代に「自分だけは絶対に騙しちゃ駄目。自分に正直にならない限り、いいお芝居はできなくてよ。私たちは自由なのよ」と微笑みかけた百合子。その信念には一切ブレることがなく、百合子は今、自由を求めてソ連に渡ろうとしている。
千代は涙をにじませながら「百合子さん、おおきに、うちに役者になるきっかけをくれはって。おおきに」とまた深く一礼。今度は振り返ることなく去っていった百合子たちの背景に、蒸気機関車の汽笛が鳴り響いた。