「これからもずっとずっと続けていこうと思います」
この日、本編として届けられたのは14曲。
渋谷はその最後に「素晴らしい世界に」を置いていた。
「好きなことを、好きで好きで仕方ないことを、思いっきりやれていて幸せです。これからもずっとずっと続けていこうと思います。大事な人に囲まれながら。ずっと、死ぬまで続けていこうと思います」
そんな言葉を挟み、渋谷は手持ちのマイクをちから強く握りしめ、守り抜き、生き抜くこと、誰も一人じゃ無いこと、満ちた日もそうじゃ無い日も愛おしい日々であることを、全身の力を込めて歌い届けた。天を仰ぎ、おでこに両手で持ったマイクを当てた。この歌が、聴いてくれている人の心に届くことを、強く願ってのことだったのだろう。少し切なさを宿したメロディは、渋谷の歌声と共に胸を締め付けた。
いいな。渋谷すばるの歌。改めてそう感じた。それと同時に、ふと心の中で改めて彼に問いかけた。
すばる。今、最高の人生を歩めてますか?
屈託のない笑顔と共に“うん!”と答えるであろう渋谷の顔が目に浮かんだ。
「これからもよろしくお願いします。渋谷すばるでした」
少し照れ臭そうにハニカミながら最後の挨拶をした渋谷。
良かった。間違いなく彼は今、最高の人生を歩めている。そう思った。
そしてアンコールとして彼は「ぼくのうた」を届けた。
“歌を歌わせて頂けませんか?”“もしこの声に聞き覚えがあって興味がありましたらこれからも頭の隅っこにそっと居させてくれませんか”
渋谷がソロアルバムの1曲目に選んだ曲だ。“人見知りで変な大人”の自己紹介。渋谷がこの曲を生み出し、デビューアルバム『二歳』の1曲目として歌ったとき、きっとここには葛藤ともがきが在ったことだろう。故に、当時彼が歌うこの曲には威圧的な感情を強く感じていた。しかし、わずか1年の間に、この曲はとても純粋な気持ちを届ける歌に変化していた。そこに威圧的な感情はなく、ごくごく純粋な“人見知りで変な大人”の自己紹介に変わっていた。
素敵な変化だと思った。そして、素晴らしい成長の証だと感じた。
「たくさん新曲も出来てます」
ライブ中のMCでそう語っていた渋谷。素直な性格故にウソはつけない。
ここから先に生まれてくる曲たちには、きっと“今”を生きる渋谷の赤裸々な想いが乗ってくることだろう。
「次こそは画面越しじゃなく、一緒に泣いたり、笑ったり、歌ったり出来るように。そんな日のために、明日からもずっとずっと一緒に頑張っていこう! また」
渋谷はそんな約束を残し、ステージを後にした。
その目に少し涙が滲んで見えたのは見間違えではなかったはず。
ラストにステージのバックに現れた“渋谷すばる”の文字が描かれた大きなフラッグは、渋谷すばるを懸命に生きる渋谷のプライドと重なった。
この先、渋谷からどんな感情が生み出されていくのか、楽しみでならない。
まずは。今日という日をありがとう。
取材・文=武市尚子
撮影=伊藤岳
4/29(祝・木)23:59 までアーカイブ配信中 3,500円(税別)
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■4/21(水) 渋谷すばる ONLINE LIVE 2021「NEED」 セットリスト
M1 Sing -acappella-
M2 Earth Color
M3 BUTT
M4 たかぶる
M5 ワレワレハニンゲンダ
M6 水
M7 今日はどんな一日だった
M8 新曲
M9 新曲
M10 塊 (JRA「天皇賞(春)タイアップソング」)
M11 風のうた
M12 人
M13 生きる
M14 素晴らしい世界に
Enc ぼくのうた