「相手のお芝居を見ながら演じることができる子役さん」
無邪気で笑顔のよく似合う春子。そんな春子を演じる少女が第1週では幼少期の千代を演じ、荒っぽい河内弁でテルヲ(トータス松本)を「親やったら親らしいことさらせ!」と怒鳴りつけ、アドリブで蹴りまで入れた少女なのだから驚きだ。
祖母の栗子とも当時、すでに“共演”している。幼い千代は、家事もせず三味線を弾いてばかりいる栗子を「あねな女のどこがええねん」とこき下ろし、一方の栗子も「なんで血ぃもつながってやぃん子の面倒みなあかんねんな」と開き直るなど、2人はまさに犬猿の仲。顔を合わせれば嫌味を言い合ったり、いやがらせの応酬ばかりしていた。
それが雰囲気をガラリと変え、今は穏やかな“栗子おばあちゃん”と賢くておとなしい孫・春子として、いい関係を築いている。栗子役・宮澤エマの演技もさることながら、千代役と春子役をまったくの別人格で演じ分ける暖乃ちゃんの演技力には目を見張る。春子が本格的に登場した第102回では、「栗子」と並び「春子」も急上昇ワード入りするなど、見事な演技力で視聴者を驚かせた。
「おちょやん」では、約500人が参加したオーディションからヒロイン幼少期役を射止めた。暖乃ちゃんについて、「おちょやん」制作統括の櫻井壮一チーフプロデューサーは、放送スタート前に「簡単な台本を読んでもらったのですが、それを見た瞬間『この子しかいない。レベルが違う』と思いました。怒鳴ったり、泣いたり、笑ったり、とても表現力が豊かで、そして、相手のお芝居を見ながら演じることができる子役さんだと感じたため毎田さんに決めました」と起用理由を明かしたが、その見る目の確かさにも改めて驚かされる。
千代が来てから春子も明るくなった、と栗子は言うが、傷ついた千代にとっても春子の存在が癒しになったに違いない。優しくて明るい春子には、見ているこちらも癒される。
脚本家・長澤(生瀬勝久)の説得でもまだ女優復帰を決めきれないでいる千代。最後に背中を押すのは誰なのか――。4月30日(金)は第105回を放送する。
「お家はんと直どん」の千秋楽での失態が脳裏から離れず、つらい思い出を引きずる千代。だが、長澤の誘いを断った日の夕方、春子が嬉しそうな様子で学校から帰ってきて、その日の出来事を話し出す。(文=ザテレビジョンドラマ部)