金曜ドラマ「リコカツ」(TBS系)にて、後輩である緒原紘一(永山瑛太)に憧れる航空自衛隊航空救護団メディック(救難員)の副パイロット・一ノ瀬純役を演じている田辺桃子。紘一のことを思うが余り、妻である緒原咲(北川景子)を度々追い込む行動に出る純の存在は、作品に強いスパイスを与えている。咲にとってはライバルであり、紘一にとっては良い先輩であり、視聴者にとってはヒール役でもある純という役とどう向き合ったのか?
今クールは「リコカツ」だけでなく、「ゆるキャン△2」(テレビ東京系)と「ガールガンレディ」(TBSほか)にも出演していることも話題になっている田辺桃子に話を訊いた。
――「リコカツ」の一ノ瀬純役のお話を受けた時の印象はどうでしたか?
「最初は、緒原1曹のことをすごく尊敬していて大切な存在なんだなって思ったのと、いろんなところに気遣いができて、仕事にすごく真剣に向き合っている凛とした女性という印象がありました」
――真面目な性格故に、想いを寄せる紘一の妻の咲に対して過剰な接し方をしてしまうわけですが、演じる上で難しかったところはありますか?
「全部が難しくて(笑)。こんなに毎日悩んで演じているキャラクターは初めてかもしれないです。はたから見たら驚くような行動を取るキャラクターではあるのですが、ただの嫌な人ではなく、理由がちゃんとあったり、生きるのが下手だからこそやらかしてしまうところがあって。そういうことって、大なり小なり経験している人も多いと思うんです。『純の行動はあり得ない』って思われがちなんですけど、どういうポリシーで生きているのかということが回を追うごとに伝わっていくことで、『純のやってること、もしかしたら分かるかもしれない』と思ってもらえるようになったらいいなと思っています」
――徐々に「純なりにいろんなものを抱えているんだな」と感情移入できるキャラですよね。
「そうですよね。何かトラブルが起きたときの動機の部分で、純が単なる悪役ではないということをどこまで表現できるかっていうのが自分にとっての一番のチャレンジなのかなと思いながら演じています」
――では、純の言動で共感したところというと?
「5話で純が咲さんに会いに行って喫茶店でお話をするシーンがあるんですけど、コメントを読んでいると、『よく会いに行けたな』とかいろんな意見があって。確かに仕事先まで行っちゃうのは純の真っすぐで度が過ぎている部分が出てるんですけど、緒原1曹が咲さんの仕事のこともあって基地から遠い場所に住んでいて、それが原因で自分の任務の代わりをやってくれた人が怪我をしてしまって…。
その事実を咲さんが知らないことで、『緒原1曹のこと本当に好きなのかな』って思ってしまうっていう。純の言葉には強さはありますけど、咲さんに対して伝えたことは緒原1曹をすごく大事に思っているからこその言葉たちだと思うんです。そこは共感しました。彼女の大切にしていることの軸に合っていると思ったんです。純が咲さんに事実を伝えたことによって、結果的に夫婦が本音をぶつけられたという流れにもなっていたので、印象深かったです」
――7話(5月28日放送)で純が紘一にある決心をして思いを伝えにいく大事なシーンも印象深いかと思います。
「よく瑛太さんにアドバイスをいただくことが多いのですが、その場面では、『本音を言ってるというリアリティーを足した方がもっと伝わると思う』と言ってくださって。以前に、『このシーンは見方によっては違う風に捉えられてしまうかもしれなくて難しいんです』って相談をさせていただいたことがあって。そのときは、『純には芯があるんだから、振り切っちゃっていいんじゃないかな』って言ってくださったり。そうやって自分では気付かないことをたくさん教えてくださるので、すごく感謝しています。どうしても台本の文面と実際に演じるのって、私の声量や気持ちの入れ方で伝わり方が全然変わってくるので、『今すごく伝わってきたよ』とか、『ここはもうちょっとリラックスしてやってみたら』とか、一緒に演技をさせていただいているからこその意見をたくさんいただけるんです。本当毎日勉強させてもらっています」
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