フジロックでのライブは「サトちゃんも絶対やりたかったでしょ?って言いたくなるんだよね」
――2000年代以降何度もライブを拝見してきた身として、フィッシュマンズは“生粋のライブバンド”だと思っていまして、それだけに90年代当時、ロックフェスティバルの文化が現代のように定着していたなら、「フェスにおけるフィッシュマンズの可能性」も感じずにはいられないのですが…。
茂木:そりゃそうだよね! もしサトちゃんが元気だったら、フジロックのグリーンステージのトリは絶対やってますよ。全然偉そうに言う感じでもなくて、絶対にやってると思う。「サトちゃんと一緒に、フジロックのグリーンステージのトリをやる」っていう、これはもう、僕が一番やりたい「もしも」の話ですね。
トリでなくても、夕暮れ時の時間帯だったかはわからないけど、もしやれてたら気持ちよかっただろうな~と思って。サトちゃんにはもう、ステージで誰よりも気持ちよく歌って、あの動きをしてもらいたいし…。すごく悔しく思うのはそこです。いろんなことを想像して、生まれてきた妄想の中で、そこが一番悔しいんですよね。「サトちゃんも絶対やりたかったでしょ?」って言いたくなるんだよね。
――あの環境でライブをすることで、佐藤さんの創作意欲もまたかき立てられていたかもしれないですし。
茂木:もう絶対、サトちゃんの目からあの景色を見て然るべきだと思ってるんです。だから、サトちゃんが見られなかった景色みたいなものをできるだけ代わりに見てきて、サトちゃんのお墓参りをする時はそれを報告したいなといつも思っているんです。フジロックのあの眺めを味わいながら、大きな音で最高のパフォーマンスがしたいね~。
「この映画は、見てくれた一人ひとりの映画なんじゃないかなと思っています」
――まだ世の中が不確かな状況ではありますが、フィッシュマンズを再びステージで見れる日を楽しみにしている方も多いと思います。今後の活動について今考えていることがあればお聞かせください。
茂木:「今年は映画だ!」と思っていたから、ライブをやることは実は全然考えていなくて。まずは映画に関して協力できることをやりきってと思ってます。それから、僕的に今考えているのは、今回の映画を見て「フィッシュマンズの結成から現在までの歴史を音だけでひもといたらどんな感じになるんだろう?」ってことにすごく興味が湧いてきて。
実は今、結成当初からのいろんな音源を集めてチェックしている最中で。それを時系列で並べていったらどうなるかなってことを、これからやろうとしてます。
――最後に、これから映画をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします!
茂木:フィッシュマンズというバンドは、いろんな歴史をたどって、笑顔が絶えない時もあればお互いの気持ちが噛み合わない時もあったりして。でも、映画を見てくれた人それぞれが生きてきたストーリー、歴史にもそういうことはあるから、僕は「映画:フィッシュマンズ」という作品が、見てくれた一人ひとりの映画なんじゃないかなと思っています。
この映像を見たことによって、みんなの中に思い出すことだとか、「あれが自分にとっての人生の分岐点だったのかな?」とか、自分がたどってきた一つ一つの瞬間には、しっかり意味があるんだなってことを感じる映画なのかなと。「そういうことを感じ取りながら、みんなはどんな明日を作るかな?」って、そんなことを期待しちゃいますね。
7月9日(金)より、新宿バルト9、渋谷シネクイントほかにて全国順次公開
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■「映画:フィッシュマンズ」30秒予告