私は東の人間として「やすともは東京の芸人で言うと誰だろう」と考えていた。過去に彼女たちが喩えられていたことはあるが、それは「吉本のパフィー」「吉本興業の若貴コンビ(デビュー時のキャッチフレーズ)」であって、そもそも芸人で喩えられていない。
東京において、散歩ロケ番組、情報バラエティ、トーク番組をすべて自身の冠でやっている芸能人は極めて限られる。定義にもよるので正確ではないが、有吉弘行、マツコ・デラックス、コンビで言えばさまぁ〜ず、サンドウィッチマン、バナナマン、かまいたちといったところだろうか。女性芸人ではここに位置する人はいない。
しかも、彼女たちは今関西において「全芸人の姉」のようなイメージである。関西の芸人の世界では伝統的に先輩を「兄さん」「姉さん」と呼ぶ風潮があるが、そういったことを超えて絶大な信頼を受けている。
「新幹線乗ってて色々考えてたんですけど、今日全て吐き出そうかなと。やすともさんやったら何でも受け止めてくれるから」「来週も来ていいですか?」「何でそんなに的確に僕らのこと言い当てるんですか?」
「やすとものいたって真剣です」では、多くの芸人が自身の芸の裏側を吐露し、やすともはそれを時には優しく包みこみ、時には厳しく指摘する。
「なんか今日ね、家にいる姉ちゃんに友達紹介してるみたいですわ」
「やすとものどこいこ!?」では、若手芸人が年の離れた姉二人とトークするように買い物を楽しむ。
関西では、ハイヒールやなるみなど伝統的に姉ポジションに位置する芸人がいるが、今最も旬のその位置の芸人がやすともと言うことになる。
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