「“キュアパンサー”だと思って活動しています(笑)」
――初めて見たプリキュアは「HUGっと!プリキュア」だったとか。
そうですね。「HUGっと!―」の主人公が、自分に重なる部分がいっぱいあったんです。あまりスペックが高くない女の子で、その時の仲間の2人が、運動神経抜群の子だったり、頭が非常にいい子だったりする中で、「自分だけ何もないんじゃないか」と悩んで変身できなくなる回があって、すごく胸がグッとなって。
僕も、才能が試される世界にいる中、「自分には何もないんじゃないか」と悩む時があったりしたので、その姿に共感できて。結果、主人公が“(自分は)人を応援することができる”と気付いて、もう一度変身することができるようになった時に、もう泣いてました。それで、一気に胸を打たれました。
――プリキュアに影響されたこと、勇気づけられたことなどはありますか?
やっぱり自分と重ねてしまうのですが、シリーズをいくつか見せていただいても、いわゆる“闇落ち”みたいな、キラキラなヒーローが一回ダークなところに行って、もう一度光に戻ってきてさらに強くなるというところが、一番「すてきだな」と感じるんです。
自分も“陰”に入りがちなところがあるのですが、そこからもう一度立ち上がってしっかり光で構えるところがかっこいいなと思って。それを自分の芸風のロールモデルにしようと決めてやっているところはあります。“キュアパンサー”だと思って活動しています(笑)。
――シリーズ全体の魅力を教えてください。
大人が見ても大切にしなくてはいけない事とか、今考えなくてはいけない問題とかが、しっかりタイムリーに入っているというところです。子どもだけが楽しむものではなく、大人も何か感じることができるものだというところが一番大きいと思います。
――時代とともにテーマは変化していますが、人々を勇気づけてくれる作品ですよね。
はい。僕が初めて見た「HUGっと!―」で、地球上の全員がプリキュアになるシーンがあるのですが、それこそ“多様性の塊”だなと思いました。「誰だってプリキュアになっていいんだよ」というメッセージが心に響いたし、「こうあるべきだ」という狭いカテゴライズなどを全部取っ払ってくれるような瞬間でした。本当に大事なメッセージを受け取ることができるいい作品だなと思います。
――今作のテーマ「今一番大事なことをやろう!」を受け、向井さんの今一番大事なことを教えてください。
“楽しくいる”という事が、当たり前なのに、意外と忘れがちになってしまって。働く上で順序が分からなくなってしまったり、つらいけど続けていたりとか…そういったことを考えると、仕事を1つ1つ楽しくやるということが一番大事なのかなと思います。そういうことを忘れそうになったら、今作を見ていただければ、立ち返れるかなと思います。
――では、今日のアフレコは楽しめましたか?
めちゃめちゃ楽しかったです。だから本当にこういう楽しい仕事をたくさん増やしていきたいなと思います!