“面白いことが生まれる環境を作る”のがディレクターの仕事
──“流れ”といえば、「ひょうきん族」では、番組内で起きたハプニングが、翌週にはコーナー化されている、なんてこともよくありましたよね(笑)。そんなライブ感も大きな魅力でした。
「やっぱりバラエティー番組というのは、その時その時の“流れ”で作っていくものなんですよ。もちろん基本的には台本通りにやっていくんだけど、その中で突発的に何か面白いことが起こったときに、そのまま脱線してそっちの流れに乗っかるのか、流れを台本に戻すのか、ディレクターはいつも悩まされてる(笑)。でも、笑いを作っている人たちは絶対に面白い方に向かうんですよ。そして、そこで偶然に生まれた笑いを、さらに次につなげていこうということで、番組がどんどん面白くなっていく。だから、僕はやっぱり、番組を作るときの“流れ”は大事にしたいんです」
──ただ、そういった“流れ”を意図的に作り出すことは至難の業なのでは…?
「その意味では、ディレクターの仕事というのは、“面白いものを作る”ことではなく、“面白いことが生まれる環境を作る”ことなんだと思います。これもさんまさんの口グセですけど、『番組は戦場だ』ってよく言うじゃないですか。僕もまさにそう思うんですよ。優れた作家と、自分で台本を書けるくらいの力を持った演者がいて、その面白さをいかに引き出すかを、僕らが考える。いわゆる“面白い番組”というのは、そういう切磋琢磨から生まれるものだと思うから」
──とはいえ、「ひょうきん族」では、三宅さんも「ひょうきんディレクターズ」という“演者”として出演もされていましたが…。
「三宅“デタガリ”恵介っていう名前でね(笑)。ただあれはね、たまたま収録が深夜まで掛かったりしたときに、スタッフが脇役をやっちゃったほうが、お金も掛からないし、収録の雰囲気も心得ているからということで出始めただけなんですよ。あと理屈を言えば、当時はテレビのディレクターってモテるとか花形職業だとか言われてたから、そんなヤツらが芸人さんと一緒になってバカをやるっていう落差も面白いのかなって。まぁ実際は、バラエティーのディレクターなんて全くモテなかったんですけどね。ドラマのディレクターはけっこうモテてたみたいだけど(笑)。まぁともかく、決して“デタガリ”だったわけじゃなく、あくまでも戦略だった、ということです」