森田望智から見た麻美とは?
――台本を読んだ印象を教えてください。
私はホラーが苦手だったので、怖がりながら読みました。(ホラー作品でよく出てくる)黒髪ロングヘアの女性が「いつ出てくるのかな?」というワクワクとアパートに住んでいる女性たちにそれぞれエピソードがあるので毎話毎話の台本を読むことが楽しかったです。
また、ホラー作品の「怖さ」よりも、人間の「怖さ」を強く感じるお話だなと感じています。「どうして怪奇現象が起こっているのか」という原因が、アパート内の住人たちが強く抱いた思いや発した言葉から生まれた「言霊」だったりするので、人間が一番怖いなと改めて思いました。
――麻美は好きな男性を思うがあまりに恐ろしいことに手を染めていく…という役どころですが、演じる上で意識していることや、キャラクターについて監督やスタッフの方と話し合ったことは?
監督からは、物語の序盤、アパートの住人同士がまだ距離があり、それぞれの内面が見えていない中で、「麻美が一番人との距離を取っている人」だと伝えられました。さらに自分がメインになる回では、好きな人を何がなんでも助けたいという思いで、好きな人のために暴走してしまうシーンがあるのですが、暴走してしまう麻美と距離を保っている麻美では、まったく別人かのような大きなギャップを作る意識をしながら演じてほしいとも言われました。
――森田さんから見た麻美はどんなキャラクターでしょうか?
私自身はこの(麻美という)役は今までずっと勉強一筋で、勉強をやることでしか周りに認めてもらえなかったキャラクターなのかなという印象を受けました。だからこそ、勉強以外で自分の居場所がなかった麻美が「(勉強がなくても)人との関係を持っていいんだ」と思えた唯一の存在が鈴木(竹財輝之助)さんだったんです。
大切な存在だからこそ、鈴木さんに対しての感情が強いし、離したくないし、離してしまったら自分の居場所がなくなってしまうと思っている。ただ(鈴木さんを)好きなだけではなく、(鈴木さんに)執着してしまうというのは、麻美が幼少期からためにためてきたものが反動として出てしまった結果なのだと思います。
麻美自身は自覚がないのですが、「愛」とはちょっと違うゆがんだ感情を抱いている。自分は「愛しているだけ」と純愛を貫いているのですが、周りから見たらおかしいものでそれは「愛」ではないです。自分の心の傷を埋めるために鈴木さんを無意識に求めているという部分に、闇があるなと感じました。