未知子へ向けるまなざしの意味を明かす
――第1話からこれまで、蜂須賀が変化した点はどういったところだと思われますか?
視聴者の方にとって、(蜂須賀は)どういう人物なのかが分かりにくいキャラクターだったと思います。(蜂須賀のことを)簡単に言えば、蛭間(西田敏行)院長代理を頂点とする外科には受け入れ難い「切らずに治す」内科というスタンスにいる人物。「ドクターX」が長寿番組であるからこそ、医療が変化しているということを受けて先進医療を反映している、その象徴として蜂須賀は登場しました。
外科と意見がぶつかることも多くあり、権力争いに身を投じていた蜂須賀が、途中から「ケミカルサージェリーに『なぜこだわるのか』」という真意が少しずつ出てきたというのが変化ではないでしょうか。最初は権威のためだけに行動していると思われてきた蜂須賀が、実はそうではなく、100%の治療や医療を本気で実現しようとしているということが少しずつ明らかになってきました。
その蜂須賀の変化は大門未知子(米倉涼子)へ向けるまなざしの違いに現れていると思っているので、そこを感じ取っていただけると私としても制作側としてもうれしい限りです。私自身、蜂須賀の真意が出るまでは本当に「辛抱」をしました。第9話、最終話でようやく(蜂須賀の)全貌が明らかになり、全て解決するので、視聴者の方にとってもいろいろ吹っ切れる第9話、最終話になるのではないかと思います。
――未知子へ向ける優しい目線の意味は「恋愛感情」であるというふうに受け取ってしまっていいのでしょうか?
大門未知子をあくまで内科の実験的先進医療の道具として見ていた蜂須賀の目線が、だんだんそうではなくなってきたと。ハートを向けるような目線の変化が視聴者にどう映っているのかも非常に楽しみです。ただ単に(恋愛としての)ハートじゃない、複雑にそして壮大に描かれています。私としても蜂須賀としても第9話、最終話を見ていただかないと報われないのでぜひご覧ください。
蜂須賀と大門未知子は、考えは違うけれど、「信念を持っている同士」というふうにプロデューサーから最初に言われていました。正反対だった2人が、回を重ねるごとに同じ方向を向いてくるのですがあくまでも「患者を救いたい」という理想があってこその関係なので、そこは普通の恋愛ドラマのような描写としては描かれていないというところではないでしょうか。