――沢村さんには、定期的に刑事役が回ってきているという印象があります。
正直なところ「また刑事!」と自分でも思いました(笑)。2020年は「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(フジテレビ系)、「未解決の女―」「刑事ゼロ スペシャル」(共にテレビ朝日系)で刑事、2021年になってすぐに「DOCTORS 最強の名医」(テレビ朝日系)のスペシャルで医者をやって、次がたい焼き屋さん(「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」日本テレビ系)。夏は救命救急の医者(「ナイト・ドクター」)で今回が刑事役。順番で言ったらちょうどいい流れなのかもしれません。
――王賀を演じる上で意識したことはありましたか?
「管理官キング」というちょっと偉そうなタイトルなんですけど、王賀は13人いる管理官の中の13番目という設定。肩の力が抜けていて出世欲もない。やる気があるのかどうかも分からないような雰囲気が出たらいいなと。そんなどこか飄々とした感じの王賀に絡んでくる仲間のスペックの高さが伝わると面白くなるのかなと思いながら演じていました。
――作品の世界観についてはいかがですか?
今回は「ナイト・ドクター」でもご一緒した大北さんが脚本を担当されているんです。刑事ものですから事件を追い掛けているんですけど、チームワークを感じさせてくれるようなストーリー展開が面白い。キャスティングを見た時に、これは楽しそうだなと思いました。
――女性作家が描く刑事ドラマということで興味深く感じた点は?
刑事の人間関係を描く時のセリフの言い回しも含め、男目線とは違う部分があって面白いなと感じました。それは、成海璃子さんと国仲涼子さんが演じるシーンで色濃く出ていたような気がしますね。二人が一緒にいても先輩、後輩という感じがしない。どうしても男って「縦」の関係を気にするじゃないですか。組織だとなおさらその意識は強い。
でも、女性が書いているからなのか縦の流れよりも「輪」を意識しているのかなと。まだ若くても、すごい奴には「おまえ、すごいな」って素直に言える感じは、これまでの刑事ドラマよりは強めに描かれているかもしれません。全体的に柔らかい雰囲気が漂っています。
でも、大倉孝二くんが演じる二瓶といる時の王賀は顔も見ないで書類を渡したりして偉そうにしていますよ(笑)。二瓶は王賀の右腕的存在。大倉くんはムチャぶりをしたり、アドリブを入れてもすぐに対応できますから。“相方”として演じていて心地よかったし、救われたこともたくさんありました。
現場では大倉くんといることが多かったんですけど、自分よりも(背が)大きい相手とあんなに長く一緒にいて芝居をしたのは初めてだったかも。すごく楽しかったですし、やっぱり、彼の存在感はすごいなと思いました。
――刑事役のイメージが定着していることについてはどう思われていますか?
個人的に刑事役は好きなんです。僕の場合は刑事と医者を交互に演じているようなサイクルなので自分の中でマンネリ化することはありませんが、長くやっていればあのキャラクターと似ているなと思われるのは仕方がないことかなと。作品の中でしっかりと存在することができていればいいなと思っています。
――例えば、ロケ中に本職の警察官から敬礼されたことがあるとか、刑事ものに出ているからこその“あるあるエピソード”はありますか?
警察官の方たちは刑事ドラマをよく見ていらっしゃるという話は聞きますが、本職の方とのそういう接点はないです。医者の役の時はありましたけど。
――その話、とても気になります。
病院に行くと看護師さんたちが僕のことを“神の手”みたいな感じで見ているなと思ったり。僕もそういう顔で院内を歩いていますから(笑)。あとは、連ドラが終わってすぐのタイミングで飛行機や新幹線に乗った時に急病人が出て「お客様の中にお医者様はいらっしゃいますか?」っていう状況になったら、僕のことを見る人がいるだろうなって思ったり。料理人の役をやった時は、僕がご飯を食べに行くとシェフが緊張していましたね(笑)。
――刑事を演じる時に気を付けていることはありますか?
セリフ以外で言うと、刑事は職業柄たくさんのご遺体を見てきているし、常に犯罪と関わって生きている。そういう、いろいろなものを背負いながら日々自分の職務を全うしているという感覚を意識しながら演じています。
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