本作を視聴して、公式の紹介であった「真冬に毛布にくるまりココアを片手に見たくなる至極のヒューマンドラマ」のフレーズがぴったりだと感じた。視聴後に筆者の心がぽかぽかと温かくなり、冬の寒さを忘れることができた。
何気ない朝食シーンから本作がスタート。温かい家庭だと一目でわかる雰囲気がなんとも心地いい。しかし、千波が出掛ける時に母・桂子の言葉や、見送る様子が少し引っかかる。何気ないワンシーンだけでも、ただならぬ香りがプンプンする。
そして、駅に着いた千波はタケルに出会う。タケルをじっと見つめたり、ぼう然としながらタケルが乗った電車を追い掛けたりするシーンは、いくら土屋をかわいいと思って見ていても少し怖い。でも、見進めるうちに、ここの行動の意味が分かり、「私もそうしてしまうかもしれない」となってしまう。
翌日も同じ時間に駅で自分を見つめる千波に恐る恐る話し掛けるタケルと千波の掛け合いが面白い。顔を見つめる理由やタケルの正直な気持ちなど、土屋と永山の演技が上手で距離感が絶妙。タケルの引き気味な話し方や、天然な千波の発言や行動など、とにかく面白いので注目してほしい。
でも、二人の恋愛模様だけでないのが本作の魅力。鈴木家の暗い過去が前半で明かされる。その過去を知ったタケルと千波は微妙な関係になるが、最後には鈴木家とタケルがとある楽曲を演奏。その歌詞が家族を過去の呪縛から解き放つ内容になっていて、自然と涙があふれてくる。さらに、安田が涙ぐみながら歌う姿に心を動かされる。
奇妙な出会いから始まった千波とタケルの関係だが、最終的にどうなるのか。ほっこりと温かくなるそんな本作を雪が降るほど寒く、人肌が恋しくなる季節に、毛布にくるまりながら二人の恋愛を見届けよう。
文=たかし
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