川上「登場人物の中だとチボリちゃんに近い気が」
――慎重に行動するキャラもいれば、先のことを考えず前に進むキャラもいたり、ロウマやトト、ドロップたちに重ねて見てしまいますよね。
川上:全員分かるなぁって思います(笑)。でも、自分は登場人物の中だとチボリちゃん(中学生の時にロウマの住む田舎町に引っ越してきた少女)に近い気がしています。“悩みとかって、そんなに大したことじゃないから”っていうのを、かつての少年少女だった人たちが伝えている映画だと思うんです。だから、世界を見下ろしてみようよ。意外と大したことないよね。国と国との間も近いでしょう? あなたの悩みも小さいんだよ。壮大だと思っているあなたの夢も実は壮大過ぎないから案外かなえられたりするもんだよ。
そういうのを伝えたい作品だと思っていて、チボリちゃんという子はストーリーテラー的な役割を果たしているように感じたんです。15歳だけど何か悟ってる感じがあったり、自分のやりたいことも見つかっていたり。もしかしたら、チボリちゃんはいしづか監督の投影した人物なのかなとも思うんですけど、俺も15、16歳の頃にはバンドをやりたいって思っていて、そう言ってきてたので、近いのかなって。
――いろんな重ね方ができる作品ですね。それぞれの宝物を探しにいく物語でもありますが、ちなみに磯部さんの宝物は?
磯部:何だろうな。やっぱバンドじゃないですかね。他に思い浮かばないです(笑)。
――白井さんは?
白井:“日常”がそうなのかなって思いますね。コロナ禍って言われてますけど、時間がすごくできたからこそ、逆に有限であることに意識を持っていかれてしまって、暇だろうが忙しかろうが一日一日がどうしようもなく過ぎていくことを改めて気付いて、日常の日々を大切に使わなければいけないなと思うようになりました。その日常の中の大きなものがバンドなので、バンドももちろん大事です。
――それまでの日常が非日常になってしまったからこそ、大事なことに気付けるというのはありますよね。
白井:集まってのレコーディングもそうですし、ライブもそう。
対バンライブへの思い「いつもバンドさんとはバチバチしてたい(笑)」
――4月28日(木)に東京国際フォーラム ホールAでライブ「THIS SUMMER FESTIVAL 2022」の開催が決まってますが、これもまた特別なものになりそうですね。
川上:久々の自分たち主催のイベントライブです。アマチュア時代から「THIS SUMMER FESTIVAL」という名前でやってきていたんですが、それを久しぶりにやろうかと。対バン相手はまだ発表してませんが(※取材時)、アッと驚くアーティストがいらっしゃるんで楽しみにしていてください。
――対バンライブはワンマンとは違う空気感がありますが。
川上:そうなんです。僕はいつもバンドさんとはバチバチしてたいので(笑)。もちろんリスペクトできるし、仲がいいバンドさんもいるんだけど、やっぱり俺は絶対に自分たちが一番だと思ってますし、負けてないと思ってるので、一つのステージの上で、一つのイベントで、というところでの戦いは楽しみです。
白井:対バンライブはフェスとも違うんです。バンドマンは、フェスのことを対バンとは呼ばないんで。音楽で戦うってどういうこと?って思うかもしれないですけど、対バンライブをする時って、「テメェ、このやろう!」みたいな血気盛んというか、血の気の多い感じになるんです(笑)。もちろん実際に手を出すわけじゃないんですけど、久しぶりなので血が騒ぎますね。
磯部:ライブ自体が好きだし、最高のライブをしたい。ライブがやりたいからバンドをやっているっていうところがありますから、いろんな活動がある中でもライブは何にも代え難い時間です。生きている実感がします。自分も同じで、出番が後だとすると、相手のステージを袖から見ながら『そこどけ!俺らに早くやらせろ!』ってむき出しな気持ちにさせてくれるのが対バンです。当日、ギラついてると思いますけど、それぐらい楽しみなんです。いい刺激を受けたいし、いい刺激を与えたい。対バンライブをすることで、その受けた刺激はのちのワンマンにも昇華できるものがあると思いますから。
――4月というと、リアドさんが正式加入して1年ということになりますが。
リアド:あ、確かに! 今は振り返るところにも来てないし、常に瞬間瞬間をどう生きていくか、どうやっていくかに全てを注いでいるので、今言われて「あ、4月で1年になるのか」って思い出しました(笑)。初めてのこともいっぱいありましたし、4月の対バンも初めての経験になります。アウェーが好きな部分もあるので、対バン相手のファンの人たちをしっかりとかっさらって行けるようなライブにしたいです。
――では最後に、映画や主題歌を楽しみにしている読者の方々へメッセージをお願いします。
川上:自分の中でもそうですし、バンドの中でもそうなんですが、「Rock The World」に関しては“快作ができた”と思っていて、思いがみなぎってますし、聴いてもらえたらそれは伝わるのかなって(笑)。早く皆さんのものにしてもらいたいので、ライブでもどんどん演奏していきたいと思っています。シングルはリリースされていますけど、映画が公開されたことでまた違う聴こえ方がすると思いますし、みんなで一緒にこの曲を温めていけたらいいなと思っています。
◆取材・文=田中隆信