ジェンダーの話題を、もっとポップなものに
コンサートが開催される「国際女性デー」の由来は、1904年のニューヨークで婦人参政権を求めるデモが開催されたことだ。小林氏は創作活動を通じ、長年ジェンダー不平等への問題意識を発信し続けている。
「毎年ジェンダーギャップ指数が発表されるたび、溜息をつきながら『さもありなん』と思います。2006年には80位だったのが、2021年は121位。これは世界の方がジェンダー平等に向けてすごいスピードで変わっていて、日本はとても変化が遅いということです」
「今の日本社会で、より遠くへ響かせられる声を持っているのはやはり男性が多い。男性が気後れしていることが、変化の遅さの大きな原因」と語る小林氏は、日本で「フェミニスト」という言葉への忌避感が存在する理由を「立場をわきまえすぎる文化」だととらえる。
「日本では上司部下、目上目下など、接する相手に合わせて自分の立場をわきまえるということを、皆が無意識で行っている。でも、だからこそ誰かが立場を超えて発言すると、お行儀の悪いことであるかのように捉えられてしまう。フェミニスト的発言、政治的発言を行うことは、どこか危うい目で見られますよね」
それでも数年前と比較すると、よくなっている点もゼロではない。「SNSなどにおいて、ジェンダーに関する問題が可視化されやすくなったことは、よかったと思います。『#Metoo』『#TIMESUP』など、わかりやすいハッシュタグの力はすごい。ただ海外発信のムーブメントは入ってきやすくなったけれど、日本発のムーブメントがなかなか大きな流れにならないことは課題です」
小林氏は、ジェンダー平等を実現するキーはZ世代にあるのではないかと語る。
「Z世代の若者たちには、置かれた立場に縛られず、軽やかに飛び越えていく力があると感じます。ジェンダーに関する話題って、湿っぽくて重い話という印象を持たれがちですが、たとえばディオールが数年前に『We Should All Be Feminists.』のメッセージTシャツを発売したみたいに、もっとおしゃれでポップなものにできたらと思っていて。それができるのはZ世代ではないかと思っています。とはいえ、私たち上の世代がそれに乗っかるのではいけない。自分自身が生きている間に平等を感じたいし、次の世代がもっと自由に生きられるよう働きかけていきたいです」
若者や女性が実力を発揮するには、まずそのための場が必要となる。小林氏は、自らの仕事を通じてそのチャンスを創出することも心がけている。
「たとえば先日上演した『リトルプリンス』では、アンサンブルキャストを全員若手にしました。ベテランを起用した方が安心ですが、ここから彼ら彼女らのキャリアが次につながっていくといいなと思って。またスタッフを起用するとき、能力面でどちらも素晴らしい2人で迷ったら、女性を起用します。それは女性の方がチャンスが少ないし、責任のある立場につきづらいから。他にも作品を演出するとき、役の性質上は男女どちらでもいい役については、どちらの性別にすべきかを改めて考えるようにしています」
AMUSE PRESENTS SUPER HANDSOME W LIVE "HANDSOME" is not just for men.
開催日:2022年3月8日(火)①開場:12:00 開演:13:00
②開場:17:00 開演:18:00
会場:Bunkamuraオーチャードホール
チケット
ローソンチケットにて販売中
https://l-tike.com/handsomelive/
配信チケット
3月5日(土)朝10:00よりチケットぴあにて販売開始
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2201085
公式Twitter
@SP_HANDSOME_W