原作の設定をふくらませるアニメのキャラクター造形
「忍たま」の1シリーズ中、半分以上の回は原作のないアニメオリジナル脚本だ。原作を大切にしつつ、愛されるアニメオリジナルを作っていく上で、どんな点を心がけているのか。
「原作がある回とオリジナル回では、内容としては全然違うところはあるんですが、オリジナルの場合は、脚本の浦沢(義雄)さんの世界観が色濃く出ていると思います。登場人物の大半が強烈な個性の持ち主で、同時に弱点も持っている。そういう人間臭さが原作の魅力のひとつなので、オリジナルの場合でもそこを面白く盛り上げていく作り方を心がけています」
原作では性格の説明が一言しかないようなキャラクターもいるため、そこから浦沢さん・河内さんたちが設定をふくらませ、アニメでのキャラクターを作り上げているという。たとえば六年生・七松小平太の「いけいけどんどん!」や、潮江文次郎の「ギンギン!」といった口癖は、元々原作にも片鱗はあるが、アニメで描かれることで定着したものだ。
キャラクターの個性を生き生きと描くために、河内さんが工夫していることを尋ねてみた。
「難しい質問ですが…最初はキャラクターの個性について、単純な、あるいは漠然としたとらえ方をしているのが、アニメで描いて、声優さんが声をあてていくうちに、どんどん個性が際立っていくんです。だから僕の意志というよりも、アニメで描いていく中で、それぞれのキャラクターが自然に動いて個性が完成される、そういうことじゃないかなと思います」
反響が驚きだった「厳禁シリーズ」
「忍たま」は原作に登場しないアニメオリジナルキャラもいるが、彼らも作品世界へ自然に溶け込んでいる。たとえばレギュラーキャラとして馴染み深い、学園長先生と仲良しの忍犬・ヘムヘムや、くの一・おシゲちゃんは、実はアニメオリジナルだ。
「ヘムヘムやおシゲちゃんは、僕が監督になる前の第1シリーズからいるので、なぜ登場させたのか?という理由まではわからないのですが…おシゲちゃんについては、原作の尼子(騒兵衛)先生からキャラクターデザインのイラストをもらっています。ただ原作と整合性をとるために、アニメの中であまり強烈に前に出しすぎないようにはしていますね」
特に反響が印象的だった回についても聞いた。「こういうのが受けるんだ、と驚いたのは『厳禁シリーズ』です」
しんべヱと喜三太というマイペースな一年生ふたりに、優秀な六年生・立花仙蔵が毎度振り回される、アニメオリジナルの「厳禁シリーズ」。第9シリーズに始まり、22エピソードが制作されている。元々は単発エピソードとして制作されたが、放送後の反響が大きかったため「厳禁シリーズ」として毎シリーズの定番となった。また「厳禁シリーズ」の人気をきっかけに、他にも第16シリーズからの「アルバイトシリーズ」や、第19シリーズからの「同室シリーズ」といった、六年生キャラと一年生キャラが関わるシリーズが制作されるようになったという。
「六年生はプロの忍者に近い、カッコいいキャラクターなので、カッコいいだけではどうしてもギャグにしづらいんですよ。それが、一年生と絡むことによって振り回され、ギャグになるのが受けているんだと感じます」
「忍たま乱太郎」
「忍たま30ベストコンビ投票」https://www.nhk.or.jp/anime/nintama/nintama30/
※投票は5月8日(日)夜11:59まで
スペシャルアニメ「100%勇気!ドクタケ出城をやっつけろの段」
2022年5月4日(水・祝)朝9:00-9:30 NHK Eテレ
2022年5月8日(日)昼3:50-4:20 NHK Eテレ(再放送)
NHKプラスにて見逃し配信あり
フロンティアワークス
フロンティアワークス
movic