制作スタッフ内では滝夜叉丸が人気
30シリーズという長期間続く中で、「忍たま」が変化した点はあるのだろうか。
「基本は積み重ねなので、大きくは変えていません。ただ毎年同じように作っていると見えて、実は制作スタッフはかなり入れ替わっています。『忍たま』を見て育ってきた人たちがスタッフとして入ってきて、制作の中心になっていく。絵やギャグのセンスについても、僕なんかはどちらかというと昭和の感覚ですが、今の若い人たちの表現を取り入れて、それまで作られてきた『忍たま』をちゃんと次に受け継ぎながら進化していると思います」
また「忍たま」は今や子どもだけでなく、大人のアニメファンにも愛され、コラボカフェやグッズなども幅広く展開されている。その契機はどこにあったのか。
「第16シリーズ(2008年)でオープニングアニメが変わったあたりから、上級生キャラを中心に大人の人気も上がってきたと感じています。僕はずっと『子供向けアニメ』という立場で作ってきたので、『忍たま』に若い女性のファンがたくさんいると初めて聞いたときは、すごく驚いた記憶があります。でも実在する芸能人のスターに憧れ楽しむように、『忍たま』の世界の上級生にカッコよさを感じてくれているのかなと。また、視聴者の方も自分がかつて過ごした学校生活を振り返って、あんな先輩がいたらカッコいいな、こんな後輩がいたらかわいいなという楽しみ方をしてくれているのかなと思いますね」
ちなみに河内さんが個人的に好きなキャラクターを尋ねると「乱太郎の父ちゃんとか、花房牧之介とか…オモシロ要素の強いキャラクターが好きですね。牧之介は、乱太郎・きり丸・しんべヱの声優さん(高山みなみ・田中真弓・一龍斎貞友)にも人気なんですよ」また制作スタッフの間では「見てると元気が出る」「安定感がある」などの理由で、ナルシストな四年生・平滝夜叉丸が人気だという。スタッフの皆さんもそれぞれ自分の「推しキャラ」を持っているそうだ。
原作終了後も、過去エピソードを掘り起こしてリメイク
忍たまといえば、放送開始時からずっと変わらない主題歌「勇気100%」も印象深い。
「楽曲に込められたメッセージが、アニメの趣旨にぴったりなんです。忍たまたちが、たとえ出来が悪くてもくじけることなく、勇気と笑顔で前に進んでいく。そういう曲だからこそ、イベントで歌われたり、学校の合唱コンクールで歌われたりと、忍たまを離れたところでも愛され、多くの方に元気を与えているのは、すばらしいことだと思います」
原作マンガ「落第忍者乱太郎」は2019年で連載終了しているが、アニメ「忍たま」は現在も放送を継続している。「元々アニメオリジナル回の方が多いですし、原作にまだアニメ化していない話もあります。また昔一度アニメ化した話を改めて掘り起こし、今の形でリメイクするという試みも数年前から始めています」ファンは一安心だろう。
番組公式サイトでは5月8日(日)まで、放送30年を記念して「忍たま30ベストコンビ投票」を実施している。これは「あなたの選ぶベストコンビ」を選んで投票し、上位5組については完全新作エピソードが制作されるというもので、既に40000票以上集まっているという。放送20年の際に同様の企画が好評だったため今回も開催、新作エピソードの放送は秋以降となる。また5月4日には放送30年を記念した30分のスペシャルアニメも放送された(5月8日(日)に再放送)。他にもイベントや、ミュージカル「忍たま乱太郎」の開催、さらにまだ情報解禁できないお知らせも予定しているとのことで、ますます楽しみな30年記念となりそうだ。
最後に河内さんに、30年「忍たま」を愛してきた視聴者へのメッセージをもらった。
「忍者の世界は、一歩間違うと危険な、危うさを持った世界です。そこに気をつけながら、学園ドラマというスタイルで、視聴者の皆さんの共感を得ながらやってきました。今後も『笑い』で見ている方々を元気づけ、勇気づけていける作品でありたいと思っています」
「忍たま乱太郎」
「忍たま30ベストコンビ投票」https://www.nhk.or.jp/anime/nintama/nintama30/
※投票は5月8日(日)夜11:59まで
スペシャルアニメ「100%勇気!ドクタケ出城をやっつけろの段」
2022年5月4日(水・祝)朝9:00-9:30 NHK Eテレ
2022年5月8日(日)昼3:50-4:20 NHK Eテレ(再放送)
NHKプラスにて見逃し配信あり
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