世界的に有名な探偵小説「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案とし、東京を舞台にした月9ドラマ「シャーロック」(2019年、フジテレビ系)。ディーン・フジオカが探偵、岩田剛典がその助手となって難事件を解決する様子を描いた。それから3年、“顔面最強バディ”ともいわれた2人が劇場版でカムバック。ドラマ版を振り返りつつ、6月17日に公開されたばかりの劇場版の見どころレビューをお届けする。もちろん、物語の核心には触れないが、まったくの前知識なしで楽しみたいという方は、鑑賞後に復習を兼ねてご一読を。
月9枠で、ディーン・フジオカと岩田剛典がバディに
2019年10月~12月にフジテレビ系の月曜9時枠で放送されたドラマ「シャーロック」。イギリスの作家、アーサー・コナン・ドイルが生み出した「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案に、舞台を令和の東京に移した物語が展開した。
主人公であるフリーランスの犯罪捜査専門コンサルタント・誉獅子雄を演じたのは、ディーン・フジオカ。その相棒となる元精神科医の若宮潤一には、岩田剛典がふんした。それぞれの名前は、原作の探偵シャーロック・ホームズと相棒のジョン・ワトソンのイニシャルにちなんで付けられたものである。
“顔面最強”バディの誕生ともいわれたディーンと岩田。学生時代からさまざまな不可解な事件や事象の謎を解いてきた天才肌である一方、一歩間違えば自身も犯罪者になりかねない犯罪衝動を抱えた獅子雄と、冷静で端から見ると善良ではあるが、虚栄心と煩悩に葛藤するナイーブな性格の若宮という、個性的なキャラクターを2人が見事に体現。彼らの掛け合いの面白さも視聴者を魅了した。
小説の中の“語られざる事件”をモチーフにドラマ化
そんな“日本版シャーロック”だが、副題の「アントールドストーリーズ」も大きな注目ポイントだった。原作小説では、事件名や概要がほんの少し触れられているだけで、詳細は物語としては書かれなかった“語られざる事件”と呼ばれるものがあり、それがドラマのモチーフとなった。
例えば、獅子雄と若宮の出会いとなった第1話で、若宮の学生時代からの友人で転落死した医師の胃の中から検出された“パセリとバター”。これは小説「六つのナポレオン像」の中のシャーロック・ホームズの会話に出てきたもので、ドラマと描写そのものは違うが、元ネタと考えられる。
そのように原作ネタ探しも楽しめることで、シャーロッキアン(シャーロック・ホームズの熱狂的なファン)の心もくすぐりつつ、オリジナル性のあるミステリーが展開していった。
なお、現在TVerでは「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」を記念して、ドラマ版「シャーロック」が無料配信されている。
宝島社
発売日: 2022/05/10