ブレイクのきっかけとなったロケ番組…「国民的おじさん芸人」に
それでも売れなかったなすなかにしがなぜここにきてブレイクしたかといえば「笑神様は突然に…」(日本テレビ)などのロケ番組で、彼ら定番のワープ芸(ジャンプしてワープ移動した先で何かが起こる)などが全国区に広まったのが大きい。
様々なバリエーションがある登場シーンや、食レポ前の店への許可とりでのやりとりなど、無限にありそうなロケ引き出しが、先輩芸人などから爆笑を持って取り上げられた結果、いつしか「国民的おじさん芸人」としてブレイクしたというわけである。
「なすなか節」を最初から最後まで堪能できる「バズっちゃ!!」
そんな「なすなか」の冠ロケ番組が富山で始まっている。その名も「なすなかにしのバズっちゃ!!−100万回再生への道−」。おじさん芸人である二人が若者人気を獲得すべく、ネットでバズることを目的に富山県内をロケする、そんな番組である。
なすなかにしの両名は大阪・京都の出身で、中西いわく、富山とは「一点の曇りもなくゆかりがない」。かつバズりとは無縁の芸人生活を送ってきた二人にとってこの番組目的もなかなか難しいお題である。
そんな不安を抱えての船出であったが、意外にも富山での二人の知名度は高く、市街ロケでも手応えは十分。その後も大岩山日石寺での「滝行」や立山の「雪の大谷」などバズりそうな場所を選んでは楽しくロケを続けている。
数多くのロケ番組に出演し、昨年は180回もロケに行ったなすなかにし。しかし、現代のキー局テレビ番組はスタジオにも人がいて、ロケVTRを見てはツッコミを入れるのが基本スタイル。それはそれで相乗効果があって楽しいのだが、折角なら、なすなかにしだけをずっと見ていたいとも思う。
その点、この「バズっちゃ」はなすなかにしの二人しか出てこないため、「なすなか節」を最初から最後まで堪能できるのが素晴らしい。大袈裟でなく15秒に1回レベルで中西がボケ続け、那須がそこに息のあったツッコミを放り込む。それにより本題に入るのがだいぶ遅くなることも多いのだが、見ている方は時間が過ぎるのがあっという間だ。
惜しむらくは、こんなに面白いのに番組目的である「バズる」がまだ実現していないことだ。番組公式YouTube動画は毎回数千回レベルの再生回数にとどまり、100万回再生にはまだまだ遠い感じである。
ちなみに番組序盤であったバズり企画を考えようの回で、那須が考えた謎の企画で「とんかつピアノ」というのがある。街のレストランで、何キレかに分けられたとんかつが出された場合、それを鍵盤にみたて、お客さんが各キレを食べた順番でメロディーを決めピアノ演奏するというもの。シュールにも程がある感じではあるが、再生回数がなかなか上がらない今の状態を打開する起死回生の一発は意外と「とんかつピアノ」だったりするのかもしれない。