スパイダーマンほか、難役も繊細な演技で魅了
アンドリューの俳優としてのキャリアの始まりは、舞台。ちなみに、2018年にはアメリカの演劇界で最も権威のあるトニー賞の演劇主演男優賞を受賞している。
長編映画デビューは、ロバート・レッドフォードが監督を務めた政治をテーマにした「大いなる陰謀」(2007年)。2作目で初主演となった「BOY A」(2007年)では、過去の罪を背負った青年を演じ、英国アカデミー賞TV部門主演男優賞に輝いた。
その後、映画ファンに注目されたのがデビッド・フィンチャー監督による「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)。Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグを描いたもので、アンドリューはマークの親友役を演じた。物静かな青年が感情をあふれ出させるところは見応えがあった。ゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされている。
そのほか、ダークミステリーの3部作「レッド・ライディング」、カズオ・イシグロ原作の「私を離さないで」(2010年)などに出演している。
どちらかといえば硬派、社会派な作品を選び、映画ファンを魅了してきたアンドリュー。彼の名前が日本で幅広い世代に広まったのは、タイトルロールを射止めた映画「アメイジング・スパイダーマン」(2012年)ではないだろうか。
トビー・マグワイアが演じた「スパイダーマン」シリーズのリブート(再始動)版となる同作。現在38歳のアンドリューが、“親愛なる隣人”であるスパイダーマンを演じることが決まったときは20代後半。ヒーローとなることへの戸惑いを含めてティーンの主人公の心情を、賞レースの常連ともいえる彼が培ってきた確かな演技力で表現した。
多感なティーンエイジャーや、葛藤を抱えた青年など、感情の揺らぎが瞳に現れる。その繊細さが魅力だ。見る者に感情移入させ、共感などさまざまな思いを呼び起こす。
スパイダーマンを演じた後も、挑戦的な役どころが続いた。
前述の「ハクソー・リッジ」のほか、遠藤周作原作の江戸時代のキリシタン弾圧を描いた「沈黙－サイレンス－」(2016年)では人々が弾圧される様を目の当たりにして葛藤する主人公の宣教師として心震わせる演技を見せ、「ブレス しあわせの呼吸」(2017年)では20代後半で首から下が麻痺してしまった主人公を演じ、目の演技がすばらしく生きていた。そして2021年公開の「メインストリーム」ではYouTubeをテーマに暴走してしまうキャラクターを怪演した。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/in-nome-del-cielo
▼ ディズニープラス特集ページはこちら
