AKB48卒業から8カ月の心境と今のグループへの思い
――AKB48を卒業して8カ月となりますが、気持ちの変化などはありましたか?
今、すごく楽しいです。自分としてしっかりと一つ一つを活動できているので、新しいことにたくさん出会えている感じがしています。グループにいた時は一個フィルターを通して人と関わっていたなと思うので、それがなくなって、自分として人と関わったり、ものづくりに携わっていけるというのは、今までになかった感覚でワクワクしています。
――責任感も大きくなりますけど、その分やりがいも大きいと。
そうですね。自分で自分にプレッシャーをかける状態というのは大変だし、悔しい思いもしますけど、自分にとって心地良いというか、どんどん前に進んでいける感じがしていますし、自分に合っているんじゃないかなって。
――卒業から少し時間がたって、グループでの活動のことを客観的に見られるようになったのでは?
ありますね。自分としては、自分の中のベストなタイミングで卒業できたので、“やり切った”という気持ちなんです。ありがたいことに卒業してすぐに舞台のお仕事のお話をいただいたり、今回のミュージカルにもつながったりしていて、まだ少ししかたっていませんけど、今がすごく楽しいんです。
――卒業メモリアルブック(「AKB48 横山由依メモリアルブック 深夜バスに乗って」)でAKB48での活動をまとめられていたのも、気持ちの整理につながったのではないでしょうか?
はい。自分が今感情を一個一個しっかりと実感して味わえているって言いましたけど、AKB48の時は本当に目まぐるしかったので、一つ一つに気持ちが反応できてなかった部分がもしかしたらあったかもしれないなと思っていて。でも、メモリアルブックはいろんな方からのメッセージが載っていたり、自分がやってきたことが細かく記されているので、活動してきた12年間が救われた気がしました。「この時、絶対病んでいたよね」っていうのも分かりますし(笑)。自分が今後もし迷うことがあったら、その時はこの本を読もうかなと思っています。
――12年も活動していれば、いろんなことがありますからね。
楽しかったことも大変だったことも含めて、あの12年間がなかったら自分がここにいないと思うので、今は全てがいい経験だったなと思います。
――今のAKB48をどう見ていますか?
ここ数年を見ても、新しいチャレンジもたくさんしてきましたし、私が卒業した後はさらに新しいAKB48になっているなと思います。楽曲を聴けばレッスンをたくさんしているんやろうなって思いますし、過去にとらわれず、今の自分たちを表現することをすでにやり始めている気がしていて、格好良いなと思っています。
――卒業した先輩が今の活動を見てくれているというのは、メンバーもうれしいでしょうね。
逆に現役メンバーも卒業した先輩のことを見ていると思うので、そう意味でも自分も頑張りたいなって。しっかり地に足をつけて進んで行けたらいいなって思います。
――最後に、俳優として今後チャレンジしてみたいことなどを教えてください。
舞台やミュージカル、いろんなジャンルの作品に出演したいです。今回の歌稽古で今までとは違う歌い方に挑戦したように、今の自分にできることも大事だと思いますけど、今の自分にできないことに果敢にチャレンジすることも大事だと感じています。例えば、「オペラ座の怪人」が好きなんですけど、劇中の曲を歌う時にハイトーンというか、ホイッスルボイスみたいなのが必要だったりするんです。いつかそういう曲も歌えるようになりたいなと思うので、挑戦し続けていけたらいいなと思っています。
小さい頃から自分もエンターテインメントに夢を与えてもらってきたので、今回の作品も含めて、見てもらう方に何か感じてもらえるような人になりたいなって。これからもぜひ応援していただけるとうれしいです。
◆取材・文=田中隆信
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