アラス・ラムスは「新シリーズ全体のかすがい」
――小野さんが考える、芦屋四郎/悪魔大元帥アルシエル役の魅力とは?
主夫、忠実なるしもべ。単純にスペックも高い。なのに、小さな家計のことでぶち切れたりとか、そういうギャップ、振り切り、0/100みたいなアクセルの踏み方とか、ジェットコースターのような部分に魅力を感じます。
――第2期から登場したアラス・ラムス(CV:木野日菜)も、作品にさらなる新鮮味を持ち込んでいます。
「子はかすがい」ですね。真奥(魔王サタン/CV:逢坂良太)、恵美(勇者エミリア/CV:日笠陽子)の仲を取り持っていて、どこか魔王陣営、勇者陣営の対立があっても、アラス・ラムスがひと泣きしたら「あー、よしよし」みたいな感じで、緊迫した空気が一気に崩れ去るんですよね。
この新シリーズ全体のかすがいであり、すべての中核を担っているといっても過言ではない存在だなと感じます。
――「はたらく魔王さま!!」というタイトルにちなんでうかがいたいのですが、小野さんにとって「働く」ということは?
本来「働く」ということは、「生きるための活動」ですよね。僕が世界一幸せな人間だなと思えている理由が、働く=好きなことができていること。それと同時に働くということは、身を捧げて生きるために、あるいは人のためにやることだなと思っています。だからこそ、今、誰かのために何ができるかなと考えています。
「異世界転生もの」ではなく「現世転生もの」
――「異世界転生もの」という言葉も、現在ではすっかり当たり前のものになりましたね。
「魔王さま」の場合、ちょっと特殊で「現世転生もの」なんです。そこが「わがちん、すげえな」と思ったところの一つでもあります。異世界のやつらが現世に適応して生きている感じも楽しいなと思います。9年たった今でも、「異世界転生もの」という言葉はあっても「現世転生もの」という言葉は聞きませんよね?
――確かにそうです。
(「魔王さま」は)コペルニクス的転回なんですよ。実は異世界のとんでもない奴らが、人間の普通の暮らしに適用する話なんですから。悪魔としてすごいやつらが、身をやつして、マグロナルド(真奥が働く幡ヶ谷駅前のファストフード店)のバイトをして…。(人間界では)当たり前のことをやっているだけですが、そこに面白味があるんです。
――「現世転生もの」、すごくいい言葉です。では最後に、作品のあらためて本作の見どころを教えてください
9年を経てあらためてのアニメ化ということですが、そんなことが実現する作品はそうそうないんです。そのうれしさをぜひ一緒に共感していただきたいですし、キャラクターたちは当時から地続きの世界観なんですけれども、キャスト陣に関してはやっぱり違った部分もあると思います。
僕に関しては、芦屋に関する表現が当時よりできることも増えていて、そこを楽しいなと思ってくれるとうれしいですね。もちろん「ちょっと過剰だぜ」と言われたら「サーセン」なんですけど、今やっぱり芦屋が“顔芸部分”とかを担っていると感じているので、その役目を全うしております。新たな世界観として楽しんでいただければと思います。
◆取材・文=原田和典
※記事内、逢坂良太の「逢」の字は「二点しんにょう」が正式表記
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/the-devil-is-a-part-timer
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