癒やし笑顔の謎の男を演じた福士蒼汰「僕自身は明るくないです(笑)」

2017/05/26 20:30 配信

映画

“ブラック企業”“長時間労働”“パワハラ”など現代の社会問題をテーマにしつつ、軽妙な語り口で人気を博した小説「ちょっと今から仕事やめてくる」を映画化。主演を務めた福士蒼汰は関西弁を話す謎の男・ヤマモトを、工藤阿須加はブラック企業に勤めるサラリーマンの青山を演じた。

映画「ちょっと今から仕事やめてくる」で初共演した福士蒼汰、工藤阿須加

映画「ちょっと今から仕事やめてくる」で初共演した福士蒼汰、工藤阿須加

撮影=大石隼土

――この映画の企画が立ち上がった当初から、福士さんと工藤さんのキャスティングが想定されていたそうですが、お二人はこの作品のどこにひかれて出演を決めましたか?

福士:最初にそのお話を聞いたときは、自分でいいんですか?と思いました(笑)。というのも、脚本を読んでみると、普段の自分とは違ってて、ヤマモトは関西弁をしゃべり、明るくて、常に笑顔のキャラクター。自分とは真逆と言っていいくらいに全然違う要素がいっぱいあるなと思いました。

――福士さん自身は明るくないんですか?

福士:明るくないです(笑)。この人のテンションはいつ上がるんだろうと思われるタイプだと思います。なので、ヤマモトとして、どういう明るさを出していくか、そのエネルギーを探しながら脚本を読んでいました。

――工藤さんはいかがですか?

工藤:僕も福士君と同じで、なぜ僕をイメージしてくださったのかは全然分からないですけど、そうやって言っていただけるのは、とてもありがたいことだと思います。でも、脚本を読ませていただいて、正直、青山という役と向き合うのは大変だなと感じました。青山は仕事の厳しいノルマと上司のパワハラに悩んでいて、精神的に追いつめられているキャラクターなのですが、全体を考えたときに、青山だけを中心に考えたらいけないなと思いました。

なぜなら、青山の視点だけで考えてしまうと、吉田鋼太郎さん演じる会社の上司や、黒木華さんが演じられた先輩がただ否定的な存在になってしまうので。たとえ青山を苦しめる存在であっても、いろんなものを抱えて生きてきた中で、自然とそうならざるを得ない状況になってしまったのではないかと。青山を演じる以上はそこをちゃんと理解しておかないといけないと思い、常に意識して演じていました。

――上司に罵倒される姿など、青山の置かれている状況はとても厳しく、観ているこちらの心が折れそうなぐらいでした。福士さんはそれをそばでご覧になっていて、いかがでしたか?

福士:僕は会社パートの撮影が終わってから合流したので、工藤さんがどういう状況になっているのか、全く知りませんでした。でも、完成した映画を見て、“かわいそうだな”と思いました。

工藤:完全に他人事だよね(笑)。

福士:(笑)。でも、青山の「前に向かいたいけど、向かうのが怖い」という感じがすごく伝わってきました。多分、前に向かおうという気持ちがなかったら、すぐに会社を辞めていると思うんですよね。その青山の頑張りたいという気持ちが、工藤さんのマジメで一直線なところとリンクしていて、青山の心情がとてもリアルに伝わってきました。

――工藤さんは撮影以外のときもスーツを着て過ごされていたそうですが、それが役に影響を与えることはありましたか?

工藤:この役と出会う前から、スーツを着る機会は多いほうでした。でも、リクルートスーツを自分で買って着るということはしたことがなかったので、初めてのチャレンジでもありました。その中で感じたのは、リクルートスーツは自分を守る鎧でもあり、前向きに頑張ろうという意思表示でもあるんだなと。それを毎日着ることによって、しわの出方も、着方も、だんだん変わってくるんですよね。そうやって青山の生活習慣を自分の中に取り入れたことは、演じる上で大きなものになったと思います。

――撮影期間中、青山の気持ちを引きずって、つらくなったりはしませんでしたか?

工藤:正直、とてもつらかったです。撮影の期間中は家族や友人と一切連絡を取らず、自分を追い込むようにしていたのですが、その孤独感はすごく寂しいし、怖いし、つらいものでした。でも、その感覚を撮影期間中に持てて、本当に良かったなと思います。

――福士さん演じるヤマモトは、青山に的確な助言を与え、彼の人生に光を当てていく天使のような役どころでした。ヤマモトのように、ずっと笑顔でいるというのもまたつらいのではないかと思うのですが、演じていていかがでしたか?

福士:笑顔といっても、単純に笑うのではなく、その裏にある気持ちを考えました。ヤマモトがなぜその笑顔になるのかを明確にしてくことが大事だと思い、それを常に意識していました。あと、ヤマモトは確かに客観的に見れば謎の男ですが、実は笑顔の裏に大きな秘密を抱えているんです。そういうヤマモトの根本的な部分は大事にしようと思って演じていました。

成島出監督の現場で学んだこととは (2/2)

ふくし・そうた='93年5月30日生まれ、東京都出身。O型。7月スタートの新ドラマ「愛したって、秘密はある。」(日本テレビ系)に主演。また、'18年には主演映画「曇天に笑う」「BLEACH」「旅猫リポート」の公開を控える
くどう・あすか='91年8月1日生まれ、埼玉県出身。ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」('14年TBS系)や、映画「アゲイン 28年目の甲子園」('15年)、「夏美のホタル」('16年)、「恋妻家宮本」('17年)などに出演


映画「ちょっと今から仕事やめてくる」
5月27日(土)公開
監督=成島出/出演=福士蒼汰、工藤阿須加、黒木華、小池栄子、吉田鋼太郎ほか
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