武部(聡志)さんがいなかったらこの曲は入ってなかったはずです
そして作品のラストを飾るのは玉置浩二の「メロディー」。これを選ぶのは特別に勇気が要ったとのことだが…。
「この曲は、当初入れるつもりはなかったですし…玉置さんに対してはちょっともう何て言うのかな? リスペクトとかのレベルではなくて、唯一『こういうミュージシャンになりたい』って思わされた方なので。歌のニュアンスとか気持ちの込め方、体の使い方から高音の出し方、顎の使い方、息の吸い方、全てにおいて研究しまくったのは玉置さんだけなんです。だから簡単に歌えないなぁと思って、玉置さんの曲は候補にすら入れてなかったんです。でもそのことを武部さんは知っているので、『玉置の曲歌わないのか』と言われて(笑)。『このアルバムは鷹也の大切な人との想い出を繋ぐ作品であり、自分へ向けた大切な想い出の楽曲を歌わないと。だったら玉置の曲は歌わないとダメだろう』って武部さんに言われて、ようやく覚悟を決めました。武部さんがいなかったらこの曲は入ってなかったはずです」
武部聡志といえば松任谷由実を筆頭に、数え切れないアーティストと共同作業をしてきた超一流の音楽プロデューサーだ。今回のEPではその武部が、全ての編曲を担当するなど全面バックアップ。川崎との交流の始まりは、テレビ番組での共演だった。
そして作品のラストを飾るのは玉置浩二の「メロディー」。これを選ぶのは特別に勇気が要ったとのことだが…。
「何ですかね、多分、番組でご一緒して音を出した時に、お互い感じるものがあったんだと思います。そこについて武部さんに確認したことはないんですけど、やっぱり一緒にセッションして初めて分かることというのはたくさんあって。以来、別の番組でもまたオファーをいただけたりとか、SNSでDMをいただいたりと、気に掛けてくださってます。武部さんは、後輩としてじゃなく同じ音楽好きとして話してくださる方。そんな方とアルバムを一緒に作れたらすごく楽しいだろうなっていう僕の夢物語から、ダメ元でオファーさせてもらったんです。そしたら『全然いいよ、やろう!』と快くお返事をくださいました。
武部さんと一緒にレコーディング作業を進める中ですごいなと思うのは、技術的なことを一切おっしゃらないことです。『のびのび歌って』とか『好きに歌いな』とか…なかなか言えないですよね、それって。レジェンドと呼ばれ多くの経験をされてきた方が、僕のことを心から信頼してくれる。そういうところが武部さんの素晴らしいところだし、すごいな、こういう人になりたいなって思わせてくれる先輩というか。
だから…すごくいい意味で緊張はしないで済みました。普通、あのクラスの方と一緒にものを作るとなったら絶対緊張すると思うんですけど(笑)、本当に『いいもの作ろう』っていうただそれだけの方なので…。うん。それは亀田(誠治)さんもそうなんですよ。「君は天然色」を一緒にレコーディングさせてもらったとき、技術的なことなんて一切言われなかった。そういうのはきっと、いろいろなものを超えてきてらっしゃる方々だからなんでしょうね」
収録曲●愛燦燦/悲しみの果て/元気を出して/366日/メロディー
かわさき・たかや=1995年、栃木県出身。アルバム『I believe in you』でシンガー・ソングライターとして音楽活動をスタート。2020年8月にTikTokで「魔法の絨毯」が人気となり各配信チャートで上位を占める。「Billboard Live」カバー企画ライブを10/6(木)は東京、10/9(日)は横浜、10/14(金)は大阪にて行う。
公式HP=
https://kawasaki-takaya.com/