松竹芸能の魅力は「アットホーム」
――長年芸人を続けているためのモチベーションなどがあれば教えてください。
僕は大好きだったお笑いの仕事がしんどくなってしまい、自分のことしか考えられなくなった時期が過去にありました。僕以外の誰かがウケていたら悔しいなと思っていたし、その当時は、バラエティーが本当につまらなかったんです。
そんな時、立ち止まってふと考えるようなタイミングがあって、「あれ? 僕ってこんな人間だっけ?」と疑問に思うようになったんです。学生時代には僕よりも面白い友だちもたくさんいたし、僕はそれを見てゲラゲラ笑っていたことを思い出してから、それまで苦痛だったバラエティーがすごく面白くなっていきました。
同時に「自分が面白い人に会いたい」「面白い場所にいたい」という気持ちで芸人を目指した僕にとって、面白い人と出会えることや面白いと思える場所にいられるということ自体が、芸人を続けるためのモチベーションになっていると気付くことができました。
なので、最近はテレビで見掛けたことのある後輩芸人に会うと、「テレビの人や~!」「こんな子だったのか!」とテンションが上がってしまうことがよくあります(笑)。
――濱口さんから見た「松竹芸能」ならではの魅力を教えてください。
松竹は所属する芸人やマネジャーなど事務所全体がすごくアットホームです。本来であれば、みんなライバルですし、多少ギクシャクしたりするものですが、松竹はそういうことがなく、芸人同士もすごく仲よしです。
後は他の事務所に比べて、ヒコロヒーだったり、キンタロー。だったり、女の子の芸人がぽんと育ちやすいというのが特徴です、なぜかは分からないんですけれど…。事務所の偉い人たちがそろって「ウチは女の子がブレークしやすい」「女の子が育ちやすい現場や」ってよく言っていますね。
――お話を聞いていて濱口さんはいろいろな方に気を配っているという印象を受けたのですが、昔からそうだったのでしょうか?
昔は今よりは周りを気に掛けるようなことはできていなかったです。若い頃はとにかく「ナメられたらいかん」とずっと必死に気を張っていました(笑)。
西の芸人VS東の芸人など、対立させるような番組も多かったので、「東の芸人がネタをやっている時は絶対に笑わへん!」「トークつぶしたる!」と闘争心でいっぱいでしたし、人を気に掛ける余裕がなかったです。
その当時は闘争心をむき出しにすることが、僕にとって大事なことだったんだと思うのですが、正直、今の方がすごくやりやすいです(笑)。今は西も東も関係なく「みんなのネタもトークも全部ウケてくれ~」と思って応援しています。