演技への目覚めは小学生のとき
イ・ギュヒョンの演技のスタートは小学生のとき。演劇部入部をきっかけに演技にハマり、高校でも演劇部に。そして演劇祭で、プロではない自分の演技に心を動かす観客を前にして、俳優になる夢が強くなったそう。そこで両親に「これからは勉強しないで演技をします」と告げたところ、意外にも快諾。塾や課外授業をやめて演技の塾に通うことにした。
兵役中も軍隊の劇団で活躍し、除隊後は映画会社等にプロフィールを送るなどして自分を売りこんでいたんだとか。このように演技ひとすじの人生だったが、100回以上オーディションに落ちたそう。「何でもやらせてくれたら、うまく演れる自信があるのに、どうして自分を見つけてくれないのか…」と悔しい思いをしたようだ。
しかしだんだん力が認められ始め、演劇とミュージカルで活躍。演劇での彼を見た監督から声がかかり、2015年に「優しくない女たち」でドラマデビュー。その後「花郎<ファラン>」や「トッケビ」に出演した。「トッケビ」で、ウンタク(キム・ゴウン)にビルの外階段で問い詰められる妻殺しの夫を演じていたのが彼だ。そして「秘密の森」の、視聴者に衝撃を与えた検事役で、一気に注目されるようになった。
続く「刑務所のルールブック」で、薬物中毒の元薬剤師でゲイのハニャン、通称ヘロリンをキュートに演じ、大ブレイク。彼の代表作かつ出世作となった。ヘロリンのキャラクターが視聴者に愛されたと共に、「秘密の森」の検事とはあまりにも違うイメージで、彼の演技の幅広さも知らしめることとなった。
休むことを知らないワーカホリック
以降は現在までドラマ、映画、舞台とひっぱりだこで、休むことなく活動。「死んだら一生休めるから」と言い、ひと月休んだだけで体がムズムズするほどのワーカホリック。最近では、ミュージカル「愛の不時着」で、ドラマ版でヒョンビンが演じたリ・ジョンヒョク役を熱演した。オーディションで苦汁を舐めまくった彼は、自分にオファーしてくれることに感謝し、「仕事がある、ということ自体が幸せ」と、さらに一生懸命に演技に打ち込む姿勢を見せる。
「どんな役割を担っても、やり遂げなければならないのが私の役目で、そのためには多くの努力が必要です。視聴者や観客が“イ・ギュヒョンが出るなら、(面白いと)信じて見よう”、そんな信頼を与えることができる俳優になりたい」という発言の通り、彼は毎回、役に対して最大限向き合う努力をする。時には「この人物はどうしてこんな性格に育ってしまったのか」という根本的なところまでさかのぼって考えることもあるという。
だから、これまで彼が演じた役は、1つとして同じものが無い。役の数だけ違う顔を見せるのだ。「秘密の森」「医師ヨハン」、そして映画「無垢なる証人」と、何度も検事役を演じてきたが、法廷シーンの演技は“検事”という以外はどれもが違う印象だった。
そして、今回の「弁論をはじめます。」では初めて弁護士役に挑戦している。「台本がとても面白かったし、シベクは深みがある人物で、多彩な面を見せることができそうだと思った」というのが、出演を決めた理由。この“多面性”というのが、シベクを知るキーワードになっていそうだ。
製薬会社の社長と建設会社社長が続けて同じ手口で殺され、犯人はいまだ不明。この2人の共通点は、まず、チャッキが所属していた法律事務所「張山」と繋がっていること。そして、製薬会社の社長はチャッキにセクハラして、シベクにボコボコにされた男。また、この会社はシベクが副作用を疑っている避妊薬を作っている会社だ。一方、建設会社の社長は、シベクの依頼人の息子に圧力をかけて、これまたシベクにボコられた依頼人の雇い主の父親である。そして、この2人の殺害シーンで映った犯人の腕時計は、シベクがいつもしている物と同じなのだ。
どの条件もシベクが犯人だと指している状態。チャッキも、セクハラの件でシベクの怒りに火を点けたと思い、「私のせいで…」と謝る。だが、そんな彼女に「僕が…殺しましたか?」と逆に問うシベク。そして、「面倒なことにはならないから、ご心配なく」と含み笑顔でうなずいて見せたのだ。この薄い表情から真意を汲み取るのは難しすぎて、視聴者にも疑念を抱かせることに非常に効果を発揮している。
建築会社の社長においては、腕時計だけでなく、殺すときに濡れて汚れたジーンズと同じ状態の物が、事件の翌日にシベクの部屋にかけてあり、ますます疑惑は深まるばかり…。
イ・ギュヒョンが演じるのだから、きっとこのままあっさり犯人なわけはないはず。物語はまだ序盤。これからさらに表れるであろうシベクの“多面性”に期待したい。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/may-it-please-the-court
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