俳優の中村倫也が10月28日、都内で開催されたミュージカル『ルードヴィヒ〜Beethoven The Piano〜』の開幕直前取材会に共演の木下晴香、福士誠治、日本版上演台本・演出の河原雅彦と共に出席。中村が役に対しての思いを語った。
中村倫也、初日を迎えるも「まだ現実感がないです」
本作は2018年末から2019年にかけて韓国で初演されたミュージカル。世界中誰もが知る天才音楽家であり、聴力を失ってなお音楽への情熱を注ぎ込んだ悲運の人・ベートーベンの生涯を、彼を取り巻く人物たちとの愛と影、喪失そして運命お、彼が綴った音楽とオリジナル楽曲で描く。
初日を迎える前の気持ちを聞かれると中村は「まだ現実感がないです」と告白。木下が「お稽古も、今までお仕事をしてきた中で一番あっという間に感じました。そのくらい毎日目の前のことに必死に走っていた」と明かすと、福士も「確かにあっという間の稽古期間でした。とても密度の高い稽古をやらせていただいた」と噛み締めた。
青年期のルードヴィヒを演じる中村は「音楽が大好きで、夢を持って、夢に破れかけて、また夢を持って…魂を注いでいる人なんだなと、日々感じながらやっています」としみじみ。続けて「そこまでいく情熱は、普段僕がリアルに道を歩いているような状態ではとても表現できないエネルギー。自分を奮い立たせながら、誰もが知るベートーベンという人が遺した思いや物、人に、少しでも説得力が出るようにがんばろうと思っています」と言葉に力を込めた。
中村と福士は舞台初共演「遠慮することもないし、気を配りすぎることもない」
中村と福士は舞台初共演。中村は「人見知り度合いが似てる。ほとんど人見知りがない2人です」と自分たちのことを表現し「遠慮することもないし、気を配りすぎることもない」と明かす。稽古現場での雰囲気を聞かれると、中村は「今回座長らしいことをあんまりしていないんですよね。みんな真面目で、放っておいてもやるタイプの役者が多くて」と告白。続けて「自分の役が結構やることが多いし、疲れる役なので、毎日毎日それを一生懸命やっていただけ。まだ何も誰にもおごってないです」と振り返った。
木下は中村について「ものすごく視野が広い方。いろんな角度から作品のことを見ていらっしゃるんだなと感じます」と話し、普段何を考えているのか?と、稽古場では常に中村のことを観察していたと回顧。さらに「もちろん先輩で、尊敬していて、『すごいな』と思うんですけど、『すごいな』で終わらない。悔しくなって『あそこまで行きたい』というところまで引っ張り上げてくださるような感覚があります。憧れで終わらない感覚がすごく新しい感覚でした」と思いを語る。それを受けて中村は「良い子でしょ?」と反応し、会場の笑いを誘っていた。
◆取材・文=山田果奈映