他にも見どころはいっぱいだが、特に笑いが漏れたのは、物語の比較的前半に登場する「肉球アイス」の場面。英語では、いわゆるアイスキャンディーのことを「popsicle」という。ニック親子はゾウから買った巨大アイスを肉球型の容器に入れ直し、「pawsicle」という名前で売っていた。「paw」は肉球のこと、カタカナで書くとしたら「ポー」が発音に近い。英語版の映画を見ていて劇中に「ポー」という言葉が聞こえてきたら、ほぼ100%肉球関連の話題であると考えていいはずだ。あと、トガリネズミの男性“ミスター・ビッグ”の語り口が、まるで映画「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドだったのにも、飲んでいた茶を吹き出させるインパクトがあった。
映画「ズートピア」が公開された2016年は、アメリカ合衆国大統領選挙の年でもあった。二選を務めたバラク・オバマ(アメリカ初の有色人種の大統領)の退陣が決まり、ドナルド・トランプと女性初の大統領候補ヒラリー・クリントンの間でつばぜりあいが繰り広げられていた頃だ。本作は、そうした時期に「多様性を尊重しよう」「差別や先入観を捨てよう」「広く歴史を知ろう」といった考えを、動物(哺乳類)に仮託して子ども世代にも伝えようとした作品であったのかもしれない。
時代は移って2022年現在はバイデン政権、そして世界的に値上げが著しく、それに伴い、日本以外ではガンガン賃金も上がっているようだ。パンデミックも暴れまくるこの混迷の時代、映画だって勝手にまとめられた“ショート動画”で内容だけさらりとつまもうとする人も多い。そういう時代背景もあってか、6年ぶりの続編は短編アニメーション全6話一挙配信。短編とはいえそこは世界のディズニーだけに、新作「ズートピア+」に込められたメッセージにも関心が高まる。
ちなみに、短編といえばディズニープラスでは「ズートピア」のメーキング映像も配信されており、バイロン・ハワード監督、リッチ・ムーア監督が泣く泣くカットしたという未公開シーンや、劇中に登場するはずだったキャラクターについて、動物園やアフリカで実際に生きた動物を見てアイデアを膨らませていたというリサーチの模様まで9本のミニ映像が収められている。これを見てからもう一度「ズートピア」を見てみると、また違った味わいがありそうだ。
「ズートピア+」は、11月9日よりディズニープラスで独占配信。
◆文=原田和典
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/zootopia/
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https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/zootopia/
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