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「自らの想い」にフォーカスし、丁寧に編まれた新作アルバム――LiSA『LANDER』インタビュー

2022/11/17 19:01

LiSA
LiSA写真:中野敬久

自分が誇れるものをちゃんと持ち続けた上で、わたし自身もやっぱり挑戦し続けたい、戦い続けたい気持ちが強かった


――何らかの経験から傷を負って、それを楽曲に投影していくときに、かさぶたになったから人に見せられるものになる、という側面もあるじゃないですか。傷が治りきっていない状態をどこまで表現するのか、という点では勇気が要るというか、どこまでやっていいのか、みたいな葛藤はなかったんですか。

LiSA:そこは正直、ちゃんと作品として作ってきたシングル楽曲が柱になってくれている安心感がありました。だからこそ、他の楽曲では、自分自身が試してみたかったこと、今の自分ができることを、現時点の経験値を持ったわたしとして、吐き出してみたかったところがあります。特に2021年は10周年っていうこともあって、制作に関してもライブに関しても、たくさんのお祝いをしながら駆け抜けた1年だったんですけど、一方では自分の中に――なんだろう、ライブで発散しているにもかかわらず、どこかで本当の自分の気持ちを発散できていないフラストレーションがちょっとだけ溜まっていた気がします。人がいてくれるからこそ、LiSAでいることがすごく好きなんですけど、ひとりでいるときに吐き出せる鬱憤みたいなものを、吐き出せる場所がなかった。このアルバムの曲を作っていて、ちょっとだけそこにフラストレーションを溜めていたのかなって、自分の中で感じました。

――なるほど。ここまでの話はとても納得感があるというか、柱になる曲がある一方で、きっちり整理されてまとまってるというよりは、いろんな方向に力が向かっているアルバムだと感じるんですよね。いい意味で散らかっている、さらに言うと尖っている。それって、アルバムとしてはとても新しいアウトプットになったんじゃないですか。

LiSA:なるほど。結果、新しくなったような気がします。わたし自身は新しいものを作ろうと思ってやっていたわけじゃなかったですけど、シングル楽曲たちが広げてくれた振り幅があって。その楽曲たちが、それぞれ尖っているものだったから、わたし自身もアルバムに収録する曲に対して遠慮する必要がないな、と思いました。だから、そういう意味ではどちらかというと攻めの姿勢で作っていると思います。

――過去にも、たとえば“ADAMAS”なんかは明確に「攻めの姿勢」を打ち出した楽曲制作をしていたけど、今回は特に楽曲制作の場面でチャレンジできる幅が広かった、という部分もあるんですかね。

LiSA:そうですね。アルバムの収録曲は、自分で全部責任を取れるから。歌い方とか、歌詞もメロディも曲もそうですけど、何にも責任を共有しなくていい、自分で背負えるのは、久しぶりな感覚もありました。いろんなものを背負わせてもらってきたからこそ、その経験値を持った上で――たとえば梶浦由記さんの曲を歌ってきたから“逃飛行(ロマンヒコウ)”や“悪女のオキテ”みたいな楽曲が歌えるのかなって思います。背負ってきたものがたくさんあったから、自分自身だけで背負うことになったときに、気負いなく自分自身を使えた、そんな感覚です。

――そういう背景があるからなのかもしれないけど、10年近く見させてもらっているいちリスナーの立場から見ると、今回のアルバムの楽曲群にはどこか懐かしさを感じる部分もあるんですよね。確かにここ数年、いろいろなものを背負ってきただけに、「LiSAでいること」により正直になると、2012,13年頃のような感触も楽曲に乗ってくるような気がして。

LiSA:昔からLiSAとして攻めていたけど、結果わたしはこうなるんだなと、わたし自身も思います(笑)。

――(笑)音楽を作るのは楽しいなあって改めて思ったアルバムでしょうし、LiSA楽曲をずっと好きで聴いてきた人も、圧倒的な柱となり得るシングル楽曲たちが好きな人も、等しく楽しめるアルバムなんだろうな、と思います。

LiSA:ありがとうございます。そうですね、作るのは楽しかったです。

――LiSAのアルバムというと、長く一緒にやってきたクリエイターの人たちと一緒に曲を作っていくのがLiSA流ですけど、今回の顔触れはちょっと今までと違いますよね。これは、意識的にそういう方向にしているんですか。

LiSA:はい。たくさんの振り幅を持ったからこそ、「攻めの姿勢」という話をしましたけど、わたし自身が音楽を作る上で一番大事なもの――“NEW ME”の歌詞にも《誇れるものひとつ持って 出掛けよう》っていう歌詞があるように、自分が誇れるものをちゃんと持ち続けた上で、わたし自身もやっぱり挑戦し続けたい、戦い続けたい気持ちが強かったから、だと思います。

――曲の書き手の方々との出会いの中で、特に今回のアルバム制作に影響を与えた人というと?

LiSA:きっかけとしては、やっぱり梶浦さんがすごく大きかったです。梶浦さんは、わたしのような声を、好んで使われてる方じゃないと思っていたんですね。だから、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」を通して主題歌「炎」、「テレビアニメ『鬼滅の刃』無限列車編」オープニングテーマ「明け星」、エンディングテーマ「白銀」を通して梶浦さんとご一緒させていただいたときに、わたし自身すごく新しさを感じたし、そこで起きた化学反応によって、新しい自分を発見できた感覚がありました。梶浦さんが自信をくれたというか、新しくご一緒する方と組んでいくことで生まれる化学反応にワクワクできたことが、大きな経験として残っていて。

以前は臆病だったので、新しい方々とご一緒することで、自分が思い描いている最高潮が得られなかったり、自分自身が最高の武器だと思っているものがわかってもらえないんじゃないか、と思っていたりしたところがありました。その点で、いつも近くにいてくれる人と一緒に作ることで、欲しいものの感覚をわかってもらえる、みたいな(笑)。これまでのアルバムでは、長く一緒にやっているからこそのLiSA感をわかってもらえる安心感の中で、一緒に制作していた感覚はすごくあったと思います。

下に続きます
LiSA
●LiSA(りさ)
2021年4月に、ソロデビュー10周年を迎えた。2018年5月にリリースした自身初のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』は、オリコンウィークリー1位・2位を独占するという快挙を達成。2020年には、5枚目のアルバム『LEO-NiNE』とシングル『炎』を同時リリースし、「W1位」を獲得。圧倒的な熱量を持つパフォーマンスと歌唱力、ポジティブなメッセージを軸としたライブで、アニソンシーンにとどまらず活躍するアーティストとしてその存在感を示している。
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