「一番好きなのは俺だから」と言って満を抱きしめる浩一
満は浩一の心臓に手を当てたあと、浩一の胸に耳も当てる。「ごめん、もう動かないと思う、という浩一。満は耳をあてるのやめて、不服そうに「なんでそんなことわかるんだよ」という。浩一が「やっぱり自分の体だし」というと、もうちょっと粘るように言う満。浩一は「ある意味粘ってるよ、俺。心臓止まってるのに体動かしてるんだもん」と布団に寝転がった。何も言えない満も隣の布団に横になる。
疲れた?と浩一が聞くと「少し」と答える満に、山田家みっちゃん大好き過ぎてごめんなという浩一。「でも、一番好きなのは俺だから。俺がみっちゃんを一番好きだから」と続ける。そう浩一に言われても何も言えず、横を向く満が切ない。
浩一は満のようすをうかがいながらじりじりとゆっくり満に近づくと、腕を差し入れて腕枕をして満を背後から抱きしめる。満の背中にぴったりと体を寄り添わせた浩一は、みっちゃんはあったかいなとつぶやく。生きている満の生の体温を感じている浩一にウルウルとしてしまう。
「俺は冷たいよ」とぼそりと告げる満に、浩一は微笑みながら首を振り、しっかりと満を抱きしめて、みっちゃんはあったかいよと言う。満は浩一の手に自分の手を重ね、目を閉じる。そして、「ちょっと痛かった、それがうれしかった。浩一を実感できるから…」と思いながら、浩一の存在を感じ取るのだった。
ハーフパンツとTシャツの部屋着姿でくっついて横たわる彼らは尊くてかわいいが、この2人がいつまで見られるのだろうと思うと切なくて胸がギュンギュンとなった。
構成・文/牧島史佳