御木本との対決を終えた黒崎の慟哭
そして、御木本とのクライマックスだ。
黒崎の父がだまされた詐欺を計画した大元の人物が桂木なのだが、「桂木は今のお前の父親だよ」と揺さぶりをかけてくる御木本に、黒崎は「認めろよ。お前の負けなんだよ!」と胸ぐらをつかみ、「お前はここで終わりだ」と告げた。
「それでもお前の復讐は終わりじゃないけどな。お前の仇は俺で終わりじゃない」と語ったあと、御木本はテーブルの上に置いた銃で自分を「やれよ」と迫るが、黒崎は「俺は…人は殺さない」と言って立ち去った。
ホテルの廊下を出た黒崎の耳に、御木本が自ら引き金を引いた銃の音は届いたのか。ベートーベンの「月光」がバックに流れるなかでの圧巻のシーンだった。
その後、雨が降る上海の路地裏を歩く黒崎の姿はそれだけで胸を打つものがあったが、亡き家族を思い、膝をついて声を上げて泣いた。悲しみや憎しみ、「復讐は終わりじゃない」という御木本の言葉も迫りくる、まさに慟哭の演技で第5話を締めくくった。
黒崎の感情があふれ出す平野の演技は、すごみを感じた。だが、まだ黒崎の闘いは終わらない。本話では新たに日本最大手のメガバンク勤務のエリートながら、裏では桂木のマネーロンダリングを請け負う宝条(佐々木蔵之介)が登場し、怪しい存在感を放った。
次回、11月25日(金)放送の第6話から、黒崎の真の宿敵探しが始まる。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
Universal Music
発売日: 2022/11/09