「第35回東京国際映画祭」TIFFシリーズ部門に出品され、ワールドプレミア上映が実施されるなど、世界からの注目も集まっているヴィレッジ・サイコスリラーの傑作「ガンニバル」が、柳楽優弥主演の実写ドラマとして12月28日に第1話、第2話が配信開始。第2話では、後藤家の連中ですら恐れる“あの人”と呼ばれる大男の恐ろしさが浮き彫りとなり、ラストシーンは思わず背筋が凍る展開となった。(以下、ネタバレを含みます)
同作は、2018年に連載がスタートした二宮正明のサスペンスコミック「ガンニバル」を実写ドラマ化したもの。都会から遠く離れた山間にある供花村(くげむら)が物語の舞台で、ある事件を起こして村の駐在として左遷された警察官・阿川大悟が主人公。一見、犯罪とは無縁に思われるのどかで平和な村だが、一人の老婦人の奇妙な死をきっかけに、大悟は少しずつ村の異常性に気付いていく。
主人公である、狂気の世界へと誘われていく警察官・阿川大悟役を柳楽が務め、供花村を支配する後藤家次期当主・後藤恵介役を笠松将、大悟の妻・阿川有希役を吉岡里帆、後藤家の元当主で恵介の祖母・後藤銀役を倍賞美津子と演技派俳優陣が脇を固め、監督を片山慎三、脚本を大江崇允が務める。毎週水曜にディズニープラスの「スター」で世界同時配信中だ。
失踪した前・駐在の娘が村へ
ある事件を起こして供花村の駐在として左遷されてきた警察官の阿川大悟(柳楽)。妻・有希(吉岡)と娘・ましろ(志水心音)と車で村にやってくると、供花村の人たちは3人を大歓迎。しかし、村には“後藤家”という村の人たちもできれば関わりを持ちたくない一族がいるが、後藤家の元当主・銀(倍賞)の変死という事件か事故か分からない案件によって、早速大悟は後藤家と関わることとなった。後藤家の者たちは“熊に襲われた”と言うが、大悟は腕についていた歯形の跡などから“熊の仕業ではない”と思い、一触即発の状態に。というのが第1話の内容。失踪した前の駐在・狩野治(矢柴俊博)の娘・すみれ(北香那)が供花村にやってきたところで終わっていた。
第2話は、ましろが村の学校に編入するということで、大悟と有希が一緒に学校を訪れ、先生や生徒たちに挨拶をする場面から始まる。ある出来事をきっかけに失語症となってしまったましろ。学校側はそのことも受け入れてくれていて、話せないましろのために「お話しノート」を作ってくれていた。ホッとする場面から始まったが、すぐに空気は一転する。
全身をすっぽり覆った白装束の集団が見えて、それは後藤家の葬儀のやり方だと学校の先生から教えられる。しかし、何やら揉め事が起きているようで、大悟が行ってみるとすみれがその集団に混じっていたことが分かった。すみれは恵介(笠松)に父親の居場所を問い詰め、熊に襲われ亡くなった後藤銀の遺体が入っていると思われる桶を蹴り飛ばした。だが、その桶の中は空っぽ。すみれは「やっぱりね。遺体が残っているはずがない。こいつら、人間を喰ってんだよ！」と叫ぶと、不気味な大男が現れ、すみれに近づいてくる。
カッとなったら止められない凶暴な男
この大男が、後藤家の人たちが“あの人”と呼ぶ人物。第1話でましろに近づき、人間の指を渡した人物だ。ここは恵介が間に入って、大悟にすみれを連れて行けと命じて、かろうじて難を逃れることができた。亡くなった人の肉を食べて弔う“食葬”というのをすみれから聞かされた大悟は、失踪した狩野治を探すために後藤家を捜索することを決意。
後藤家の人たちも一枚岩ではなさそう。二人を逃した恵介は少し引いて見ることができる冷静な一面があるが、睦夫(酒向芳)はカッとなったら止められない凶暴な性格。第2話後半はそういうところがより顕著に表れることとなった。
単身で後藤家に踏み込んだ大悟を待っていたのは睦夫たち粗暴な面々。第1話で恵介が大悟に銃口を向けるシーンがあったが、その時はあくまで“脅し”であって撃つ気はなかったように感じた。しかし、睦夫はためらわずに発砲。大悟はかろうじて避けたが、スイッチが入ってしまい一触即発ではなく乱闘へと発展していった。
