より自由な世界で……田丸が作家を目指したワケ
そもそも、なぜ田丸は作家を目指したのか。ものづくりの家系に生まれた田丸は、自身もものづくりに興味を持ち、東大の工学部に進学。しかし、自然の法則に従ってものづくりをすることに対し、生きづらさを感じてしまったという。そして、「より自由な世界で、何かを生み出したい」という思いから作家を目指した。
しかし、なかなか単著を出すまでに至らず、その間も「ショートショートは売れない」と言われ続けた。そんな中、田丸が頼りにしていたのが、高校時代に受験勉強で培った感覚だ。現時点での自分に足りないものを補う何かを実行し、結果を自分にフィードバックする。そのサイクルを回し続けていれば、「ある程度のところまではいける」「諦めるには早い」と田丸は自分自身を鼓舞しながら夢を追いかけ、見事ショートショートの第一人者と言われるまでになった。
そんな田丸が考える“かっこいい大人”は、「とらわれない大人」。今あるルールや常識に疑問を持ち、本当に必要かどうかを考え、変えるべきであればそのための行動を取れる人だ。「自分もまだまだとらわれているなと日々思う。ショートショートはそれを外す役割を担えるんですよ。だから自分の活動とも照らし合わせながら、かっこいい大人、とらわれない大人になりたいなと思いますね」と最後に田丸はこれからの目標を掲げた。
■文/苫とり子