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青木さやか、娘は「一番苦手とするタイプ」のオンナ? 母を嫌悪した思い出とともに「オンナ」について考える【青木さやか「娘とわたし」#最終回】

2023/01/20 21:02

わたしが気づかないところも、娘はよく見ているのかもしれない
わたしが気づかないところも、娘はよく見ているのかもしれない(C)青木さやか

タレント・女優として活躍し、昨年は初のエッセイ集『母』が話題となった青木さやか。『母』に描いた自身の母との関係に悩んだ過去を乗り越え、現在は中学生になった娘を育てるシングルマザーである。最愛の娘との関係を見つめる本連載も今回が最終回。娘は「一番苦手とするタイプ」のオンナかも?と考えるその理由は。

きっかけは、娘との昔話


「なんかね」
「うん」
「なんかねえ」

え、何なの? と笑いながらガスコンロに火をつけてほうじ茶を入れてくれる気の置けない友人。わたしは、たびたび、この友人宅を訪れて、よもやま話をして帰る。パジャマで来られる距離に住むこのお宅には、お嬢さんが二人いて、下のお嬢さんは娘の同級生。子ども同士もパジャマで行き来し、とても仲良くさせてもらっている。小学校に上がる前からの付き合いの二人。この先イザコザはあるかもしれないがオトナになってからも幼馴染として大切な存在になってほしいと心から願っているわたしだ。

ほうじ茶が入り、先輩にいただいた、一昨日が賞味期限のキャロットケーキとチーズケーキをシェアしていただく。わたしは賞味期限を気にしないオンナ。においを嗅いで口に入れて確かめる。問題ない。
賞味期限切れのものを平気で口にするわたしを信じられないと驚く人もいるが、わたしなどひよっこだ。いま目の前にいる友人は強者で、道端に生えている草という草を食べている。食べられるかは、口に入れて確かめる。世の中には、様々な人がいて面白い。

「美味しいね、ケーキ!で?どうした?」
「いや、実はさ」
と、わたしは娘について話し始めた。

「昔話をしていたわけ。クルマの中で。大体クルマの中かお風呂でわたしたちはコミュニケーションをとるんだけれどもね」
「いいじゃない」
「いいのよ、お風呂かクルマ。やっぱり向かい合うよりお互い同じ方向を向いてる方が話しやすい時って、ありますよね、うん、ありますよねえ。で、それはいいとして。昔話というのが」
「うん」
「高校生の時、同じクラスのわたしが好きだった男の子が、わたしの親友のことを好きになったわけ」

わたしは、男女共学であった。

娘の気になるところ

「わたし、超ショックで。で、さらにね親友はわたしに、謝ってきたの。ごめんねさやかちゃんって。ちなみに親友は、その男の子のこと、なんとも思ってないのだが」
「うん」
「わたしは、え、謝られても困るんですけどって、困るじゃない!困るっていうか、屈辱的。そりゃね、彼女が悪いわけじゃないけど、わかるけど、だけど、わたしが彼女の立場なら、謝るなんてことしないからさ。どこに持っていっていいかわからない、この気持ち。で、わたしは、彼女としばらく距離を置いたわけ。」
「うん」
「ふんって!」
「うん」
「わたしなら、わたしならだよ。友人が好きな男子が、わたしを好きにならないようにする自信200%あるね。オンナを出さないようにするもの。そうやって、気遣いながら生きているからさ。好きにさせないようにする術?身に付けているからさ。だから、好きにさせてるの、あなたじゃないの?ふん!って思ってしまったというね」
「はは、うん」
「と、いう昔話を、クルマの中で娘にしていたの。そしたら返ってきた言葉が」
「うん」
「別に好きにさせようとしたわけじゃないでしょ、そのママの親友かわいそうって」
「うん」
「そう言ったのよ!」
「ふむふむ」
「わたしさ」
「うん」
「やはりそう答えたか! と思って!」
「どういうこと?」

わたしは常々思っていたのだ。娘が、友人といる時。特に男子との態度や電話が漏れ聞こえてくると、明らかに好きな男の子と話しているだろう口ぶりだと思っていたのだ。しかし、「え、好きな男子? ヒューヒュー」なんて言うと途端に娘から嫌われてしまうだろうから、そっと見守っていたのだ。それが、どうやら、好きな男の子ではないようだ。数人の男の子に同じような口ぶりで話しているではないか。驚きますよ、わたしは。

「だからさ、もし、あの口調で電話されたら、しかも長電話よ。わたしが、相手の男の子なら、好きになるし、好きになられているだろうと思うと、思うわけ」
「ふむふむ」
「それをね、相手が勝手に好きになってるんだからって言われても、こっちが傷つくわ!」

友人は、ケーキを食べながら、どの立場で話してんの、と笑った。

「どう思う? おかしいでしょう? 注意した方がいいと思わない?」

下に続きます
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青木さやか
1973年愛知県生まれ。大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントの道へ。「どこ見てんのよ!」のネタでバラエティ番組でブレイク。2007年に結婚、2010年に出産。2012年に離婚。現在はバラエティ番組やドラマ、舞台などで幅広く活躍中。


◆所属事務所プロフィールはこちら

◆青木さやか公式ページはこちら

◆Instagram @sayaka___aoki

◆TikTok @aoki__sayaka

画像一覧
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  • わたしが気づかないところも、娘はよく見ているのかもしれない
  •  娘は、わたしとはまったく感覚の違うタイプだな、と思う
  • 2月21日発売のエッセイ集『母が嫌いだったわたしが母になった』は、母と娘という「オンナ」の間の関係がテーマ
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