コミュニケーションの秘訣は「温度を合わせる」
――いつから達観する癖が付いたのですか。
達観している気はもちろんないのですが、小学生ぐらいからすでに諦め癖が付いてきたなと思います。どんなに練習しても他の人と比べるとサッカーもうまくなるペースは遅いし、どんなに勉強してもクラスの天才たちに勝てなかったですから。努力の方法が違うと言われたらそれまでですがそこに短時間でたどり着けるかどうかは結構環境と運と素養と色々な差がちゃんとあるわけで。
とはいえ、芸能の仕事を始めた頃は「何者かになれるかもしれない」と数%は期待していたと思うんですよね。だけど、色々な壁にぶち当たり、ちゃんと諦められるような出来事がたくさんあって、放送作家でも芸人でもありトイレや掃除の研究家でもあるという、今のような仕事の仕方になりました。
――サトミツさんは、様々な芸能人と巧みに関係構築ができている印象を受けます。関係値を深めていく上で、コミュニケーションの秘訣などはあるのでしょうか。
どうなんでしょう…。コミュニケーション能力は決して高くないと思います。飲み会なんてここ10年くらい行ってませんし。どんな関係者とも交流せず、飲み会にもまったく行かずにここまで仕事増やした放送作家って他にあまりいないんじゃないですかね(笑)。
なんでしょうね、会話は得意ではないんですが…温度は合わせるようにしていると思います。別の言い方をすれば、会話において“段差”を作りたくない、といいますか。たとえば、春日と「春日語」と呼ばれる春日しか使わない独自の言語でよく会話しているんですけど、その理由も、“ひっくり返す”のが面倒くさいだけなんですよね。春日語に対しても、良いとも、嫌いとも、臭いとも、良い匂いとも、面白いとも、つまんないとも何とも思っていないから聞いていられるんです。仮に春日に対してこちらが普通の言葉でしゃべると段差ができるから、同じぐらいの程度の言葉で返したいし、相手のルールに乗っているほうが脳みそを使わないから、会話は楽ですよね。
相手も真剣なら真剣に返事をするべきだし、適当な話なら適当に返せばいいのでしょうし。愚痴や悪口が多い人なら、聴いてほしいだけかもしれないので、適当に相槌も打ったりもしますし。会話において、多くは軸が自分にないような気もしてます。これはどうなんでしょうね(笑)。