長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は、亀梨和也(KAT-TUN)と人気芸人たちが限られたお金で様々な企画に挑戦するロケバラエティー「カネ梨和也」(毎週金曜深夜0:30-0:59、日本テレビ系)をチョイス。
やたら身に覚えのある光景が繰り広げられる「カネ梨和也」
ただただまっすぐダジャレでこんなタイトルを付けたのは一体ダレジャと言わんばかりに再生した「カネ梨和也」、亀梨和也が商店街で晩酌のつまみを買うというだけの企画でテンションがぶち上がった。ゲストのシソンヌ・長谷川忍も何だか収まりが良い。予算はジップロックに入れられた千円札だけ、精肉店やおでん屋なんかを巡りアレも欲しいコレも欲しいとはしゃぎながら、その様子はスマートフォンで撮られている。
時代は変容し、もはやテレビ番組すらスマホで撮影ができるようになった。私がかつてテレビっ子であった頃に無意識に感じていた、テレビとこちら側の隔たり、それは、あのおっきなカメラであった。肩に背負って移動しながら演者を捉えたり、時には上下左右にクレーンがウィーンと動いたりして、さらに照明を当てる人や機械、音声を録る人や機械、とにかくあらゆる人とテクノロジーが集結していて、テレビというのは、映っていない部分さえも非日常、私のような凡人とはまったく関係のない世界を鑑賞させていただきめっぽうありがたしと土下座せずにはいられないような存在だったのだ。
そのはずが、今では、スマートフォンを使って、テレビ番組が製作されている。スマートフォンといえば、私も持っているし、愛用している。この私にだって、もはやテレビ番組と呼ばれるものが作れてしまう、少なくとも、同じ土俵に上がることは誰にだってできる。テレビもインターネットも私も、もはや隔たりはなくなり、どんどんと地続きになっていくような感覚……誰もが知るトップアイドルである亀梨和也の姿がスマホで撮られて地上波で放映されている、境界線が溶けていく……。
などと考えていたら、つまみを買い終えた一行が晩酌の場所どこにしましょう?と車内で話していて、結局いきなりさらば青春の光・東ブクロの自宅に押しかけて、皆がスクラッチくじで盛り上がっている最中、ひとりでネギを炒めながら盛り上がりを片耳で聞いている亀梨和也、彼らが有名人ってだけで、私にもやたらに身に覚えのある光景、やはりすべては地続きであると理解した。ところで、亀梨和也に1000円を渡すんじゃなく、貧困に喘ぐ私に10万円を渡してみるという企画はどうでしょうか?