ロバート・秋山竜次扮(ふん)する最先端のクリエイターに迫る「クリエイターズ・ファイル」。今回は、奈観根島の9人大家族を支える母・熊手もと子(47歳)が登場。1年間にわたる密着を経た最後の取材で、そのユニークでクリエイティブな子育て論が語られた。
進化する世の中に負けないようなクリエイティブな名前にしたい
――1年間、取材させていただきありがとうございました。今回は最後の密着となります。
え、もうそんなに経っちゃったんですか?大丈夫だったのかな、騒がしい場面ばかりだったでしょ(笑)。
――1年ですが、我々もお子さんたちの成長を感じることができました。改めまして、子供たちの名前が皆さんとてもユニークですが、どうしてこのような名前に?
わたし、20代の初めの頃に広告業界でコピーライターをしていたんです。名前はちょっと言えないのですが某大手広告代理店で(笑)。
――バリバリのクリエイターだったんですね?
そうそう、その後長男を授かって仕事を辞めたんです。その流れというわけではないですが、子供たちにも将来バリバリ働くクリエイターになってほしいという願いもあって。名前を付けるときに、今後、進化する世の中に負けないようなクリエイティブな名前にしたいって主人と相談して決めました。キラキラネームじゃなくってウチはクリクリネームですから(一同大笑い)。
骨折と障子破りはセットです
――長男はウェブくんですね、どのような漢字ですか?名前の由来も教えてください。
宇江武(うぇぶ)です。本当はWebにしたかったんですけど外国人と間違われちゃうかなって(笑)。長男が生まれた22年前は、インターネットはすでにありましたが、ウェブという言葉は時代を表すような、今後主流になるであろうと思わせる言葉でした。社会の中でも主流になってほしい、という思いを込めて宇江武(うぇぶ)にしたのです。
――蘭ちゃんはじめ同様に紹介していただけますか。
長女の蘭はLANケーブルのLANから取りました。蘭が生まれた頃にちょうど海底ケーブルが話題になっていて。LANケーブルのように、家族の絆を蘭がつないでいってくれたらな、という思いを込めています。
次男の真臼は、もちろんパソコンで使うマウスです。マウスのように世の中を操ってほしいですね。
そして次女は凛久と書いてリンク。三女は米恵留(メール)。
三男は電源(デンゲン)です。電源のときはよく覚えています。どんなにクリエイティブな仕事をしても主電源がないとなにもできないですよね。結局、電源が要るんです。必要不可欠な家族ってことで電源。
四男はリモト、リモ斗と書きます。リモ斗は3年前、ちょうどコロナ禍が始まる頃に生まれて。リモートワークという働き方が主流になってきたときに、そこから取りました。他にも曽社流(ソシャル)、飛摩津(ヒマツ)、真直(マスク)とか候補はあったのですが両親に猛反対されました(笑)。
――1年の間、骨折する場面に出くわすことが多かったように思いますが、あれは日常ですか?
しょっちゅうです。骨折と障子破りはセットです。骨折、障子、骨折、障子、障子障子、骨折、障子、骨折、障子。永遠のループです。みんな障子を破って次のステージに進むと思っています。なのでウチは22歳の長男や54になる主人も破るんですよ(笑)。
――お母さんは骨折することはないんですか?
全然ありますよ、今も折れています。実はおなかにもうひとりいて、今度は五次と書いてファイブジーって名前にしようかなって思ってるんです、5人目の男の子ですし。人の思いが早くつながる子になって欲しいです。両親には猛反発されてますが(笑)。