歌手やタレント、俳優をはじめ、近年はYouTuberとしても活躍する、しょこたんこと中川翔子。芸能活動20周年を記念し、これまでのシングル曲や小林幸子らとのコラボ曲などを網羅したベストアルバム『超!しょこたん☆べすと――(°∀°)――!!』をリリースする。2006年のデビュー曲から最新シングル「君のまんまが いいんだよ」までを改めて振り返り、活動の転機となった楽曲をいくつか挙げてもらった。彼女が最初に選んだのは、2007年にリリースして以来、自身の代表曲で多くのアーティストもカバーしている「空色デイズ」だった。
歌の世界観に私の人生が後から追いつくということが結構あるんです
「今回のベストアルバムのDISC1には、平成の私がぎゅっと詰まっているなと感じます。活動を始めたばかりの頃は、自信がなくネガティブ思考でしたが、そんな私でも小さいころからの夢『アニソンを歌いたい』という思いを叶えていけるんだというストーリーを感じられるんです。
特に、アニメ『天元突破グレンラガン』のオープニングテーマ『空色デイズ』を歌えたことは大きかったです。この曲のリリース日に、『オリコンのデイリーチャート3位だよ』とスタッフさんから教えてもらった言葉を今も覚えています。その年末には、『NHK紅白歌合戦の出場が決まった!』といったうれしい報告もいただきました。アニメのテーマソングとして国内外で聴いていただけたことで、これまでにいろんな国で歌わせていただく機会にも恵まれました。行く先々で、現地のお客さんがこの曲を日本語で合唱してくれるのが本当に感動的なんです。イタリアのベネチアを旅していたとき、レストランで食事をしていたら現地の方から『空色デイズ、知ってるよ』と声をかけていただいたことも(笑)。アニメとインターネットの威力を感じましたね。
この曲は自分自身、何度歌っても空の色のように毎回違う感覚があり、どんな感情にも重なるので、もっともっと歌いたくなります。超!完全生産限定盤のDISC3『しょこたん☆せるふかばー』で改めて歌い直しましたが、これまでに数えきれないくらい歌ってきたはずなのに、今の私はどう歌えばいいのかな…ってすごく考えました。今回のセルフカバーで一番難しさを感じたくらい奥が深い曲なんです」
同じDISC1に収録される「綺麗ア・ラ・モード」も思い出深い1曲だという。「この方の存在に出会えたことで、人生の中ですばらしいものをたくさんいただいていると感じます」。そう中川が熱く語る、松田聖子のヒットソングを数多く手がけてきた作詞家・松本隆と作曲家・筒美京平の強力コンビが作った楽曲というのが、その理由のようだ。
「シングル曲という意味では、おそらくこのおふたりのコンビによる最後の作品だと聞いています。なので、大きなものをいただいたな…と重責を感じていますね。レコーディングでは、大尊敬するおふたりが立ち会ってくださったので、ものすごく緊張してしまいました。うまく声が出せなくなるほどガチガチだった私を見かねて、松本先生が『へたくそだなぁ』って笑ってくださったんです。その、おかげで空気が和みました。
筒美先生からは、『この曲は年齢を重ねるほど、気持ちよく歌えるようになるよ』と言っていただきました。実はその当時は、先生の言葉の意味が正直、分からなかったんです。でも、仕事で悩みがあってその時にハッとしたんです。このお仕事、たとえどんなにつらい気持ちでも、ステージの上では笑顔で歌わなければならないので、ある意味で残酷だなと思うこともあります。あるとき、日本武道館で歌わせていただくときに、とてもつらい気持ちだったんですが、それを隠して笑顔でこの曲を歌いました。そうしたら、松本先生が『すごく良かったよ』と耳打ちしてくれたんです。苦しみを抱えていたからこそびりびりと伝わるなにかがあったのかもしれません。
それと、少しずつ年齢を重ね、私が大人になったことで歌にようやく自分の人生が追いついてきたのかなとも思います。この曲に限らず、歌の世界観に私の人生が後から追いつくということは結構あるんですよ。本来ならば幸せを吸い込んで歌う曲なので、これからはそういう気持ちで歌っていきたいです」
超!しょこたん☆べすと――(°∀°)――!!
ソニー・ミュージックレーベルズ 3,980円
収録曲●Brilliant Dream/ストロベリmelody/空色デイズほか全15曲(Disc1)/さかさま世界/Once Upon a Time -キボウノウタ-全12曲(Dics2)
公式HP
https://www.shokotan.jp/