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勝地涼「僕と同じような役者は他にいない」パブリックイメージ裏切る作品で挑む、主演の責任

2023/04/20 08:30

舞台「夜叉ヶ池」で主演を務める勝地涼
舞台「夜叉ヶ池」で主演を務める勝地涼撮影=友野雄

勝地涼が、5月2日(火)より東京・PARCO劇場で開幕する舞台「夜叉ヶ池」で主演を務める。文豪・泉鏡花の手による本戯曲は、放浪の旅人と孤独な村娘の恋に、竜神伝説が絡む物語。ロマンティックかつ、ユーモラスな物の怪たちも登場し、そして最後は人間の強欲によって崩壊していく人間界が描かれる雄大なファンタジーだ。近年数多くのドラマでコミカルな演技を見せ、名バイプレイヤーとしての存在感を高めている勝地だが、本作の情報解禁時には「3.4番手とかが多い役者人生でしたが、やはり主演をやりたい」と喜びをにじませていた。芸歴23年、ドラマ・舞台と幅広く活躍する彼が立つ現在地と、目指す未来を聞いた。

舞台をやると新たな気づきが得られる


――今回「夜叉ヶ池」主演のお話を聞いたときはどんな気持ちでしたか?

僕としては、まずPARCO劇場で主役をやらせていただけるということがありがたく、いつか森(新太郎/演出)さんの演出を受けてみたかったので、うれしかったです。

――森さんにはどんな印象をお持ちでしたか?

(俳優仲間に)大変だったけどやってよかった舞台の話を聞くと、昔は蜷川(幸雄)さん、最近だと森さんの名前がよく挙がって。厳しく細かく演出される方だと。

――ご自身としては、大変な現場にチャレンジしてみたいという気持ちが強い?

そうですね。たとえばテレビドラマの撮影だと、どんどん進んでいくので、瞬発力が求められる部分もあります。でも映像だけではなく、色々なことに挑戦していきたいなと思っています。舞台をやると新しく気づきが得られるんです。

――ドラマと舞台は、役者として演じる上での意識も異なると思うのですが、それぞれどんな面白さを感じますか?

ドラマは、最後まで台本ができていないことが多いので、役作りしづらいという意見があるのもわかります。でも僕は、結末が決まっていないからこそ演技を楽しめる場だと思っていて。ドラマの展開が現実の出来事に左右されたりもして、そこも面白いなと思います。

一方で舞台は同じシーンや台詞を何回もやれるので、その繰り返しに向き合う中で磨かれるものがあると感じています。どちらの方がいいということはなくて、それぞれの楽しさがあります。

――「夜叉ヶ池」の稽古はいかがですか?

苦戦しています(笑)。台詞が難しいんです。長台詞を全部覚えればいいわけじゃなくて、そこからちゃんと意味や情景を思い浮かべて、これを伝えたいと思いながら喋らないといけない。(台詞を)完璧に入れてるはずなのに出てこなくなるのは、まだ自分の中で繋がってないからなんだろうなと思います。

でも稽古場は楽しいです。森さん、稽古場で面白いんです。「泉鏡花の台詞、いいじゃない!役者は言いたいでしょ!」って、“好き”があふれていて (笑)。それくらい文学が好きで、たくさん勉強されている方だから、脚本の面白さをうまく説明してくれて、一緒に作ってくれている感じがする。まだまだクリアしなければいけないことばかりですが、早くもやってよかったと思っています。

勝地涼
勝地涼撮影=友野雄


自分の殻を破れた、劇団☆新感線への出演


――勝地さんは芸歴23年と、人生の大半を俳優として過ごされていますが、これまでの俳優人生を振り返って思い出深かったポイントを教えてください。

10代の頃に蜷川さんの舞台を観に行って、自分もここに立ちたいと思ったことが始まりです。自分の中の殻を破れたのは、劇団☆新感線への出演(「犬顔家の一族の陰謀~金田真一耕助之介の事件です。ノート」、2007年)です。舞台上で大きな声を出したことは何度もありましたが、あそこまで自分を解放したのは初めてで、怖いものがなくなりました。

――それはどんな理由ですか?

コメディ作品だったのもありますが、先輩たちの稽古場でのチャレンジに驚かされました。本当にいろんな方がいて、変な人の集まりで(笑)。自分の抱えていた問題を「お前バカだから、もっとこっち側だよ」と解放してくれて。そう考えると、自分自身というよりも人との出会いで成り立っている仕事だなと思います。

――では、これまでに特につらかった作品の思い出を教えてください。

舞台だと、「ムサシ」(2010年)です。初演が藤原竜也くんと小栗旬くんで、2人に当て書きされた脚本。再演に(演出の)蜷川さんが勝地のスケジュールを聞いてるらしいと。それで僕は恐れ多くて、蜷川さんのところへ断りに行ったんですけど、言葉を探してるうちに「やるよな?」って手を差し出されて、気づいたら握手してました(笑)。

自分がやれることは全部やりましたが、稽古場で蜷川さんがとにかく厳しくて。その頃井上(ひさし/脚本)さんの具合も悪く、「もっといいものを」という気持ちだったと思うんですけど、出演者で僕だけ井上さんに会えてなかったんです。だからロンドン初日のカーテンコールで「場違いだ」と感じてしまって、皆で持っていた井上さんの遺影を持てなかった。でもそのとき、達也くんと蜷川さんが「お前も持てよ!」と言ってくれたことで救われました。そこからは、(井上さんは)亡くなられてもどこかで見てくださってると思って、吹っ切れて台詞を言えるようになりました。初日が明けるまでは、複雑な気持ちでいた気がします。

――逆に、これは自信がある!という作品や役は?

ドラマ「志村けんとドリフの大爆笑物語」(2021年)での加藤茶さん役です。元々大好きなドリフターズをやらせていただくということで、撮影前からコントを1日最低5回は見るようにして、演技というよりも加藤茶さんになるという意識でした。ご存命の方を演じるのも初めてでしたが、なおかつドリフターズファンの方はたくさんいるので、絶対成功させなきゃいけない。評判も良かったので、うまくできたと言っていいでしょう(笑)。

勝地涼
勝地涼撮影=友野雄


下に続きます

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「夜叉ヶ池」

2023年5月2日(火) ~ 2023年5月23日(火) 東京・PARCO劇場

公式サイト
https://stage.parco.jp/program/yashagaike
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蜷川幸雄 (監督), 藤原竜也 (出演), 勝地 涼 (出演), 鈴木 杏 (出演), 吉田鋼太郎 (出演), 白石加代子 (出演), 井上ひさし (Writer)
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