俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第12回は、4月21日より全国公開された映画「ゲネプロ★7」、同じく4月25日にスタートしたドラマ「あいつが上手で下手が僕で シーズン2」の見どころや撮影秘話を語ってもらいました。
7人全員が性格に難あり。「恋人にも友達にもしたくない(苦笑)」
──まずは映画「ゲネプロ★7」について。どんなストーリーですか?
「劇団SEVEN」という7人組の劇団の話です。立ち上げから苦楽を共にしてきた同志なんですが、人気が出ていくにつれてそれぞれが勝手なことをやり出して歯車が狂っていくんです。そんなときにリーダーが突然死んで、もはや統率が取れなくなってしまう。それでも新メンバーを加えて新しい作品をやろうとするんですが、なかなかうまくいかない。7人の仲がどんどん悪くなっていく中、ゲネプロ(本番前の最終リハーサル)を迎えて「さあ、どうなる!?」というストーリーです。
──染谷さんの役どころは?
焼野(しょうの)悠馬という7人組の1人です。女グセが悪くて自由奔放で、週刊誌に叩かれてしまう問題児です。劇中でやろうとする作品が「シェイクスピア・レジェンズ」という、シェイクスピア劇の登場人物が出てきて、真の主役を奪い合うというものなんですが、そこではオセロ役を演じます。
──「劇団SEVEN」の他のメンバーも、それぞれ個性豊かな役者がそろいました。中でも、陣内康史(ハムレット)役の和田雅成さん、芥川拓登(ジュリアス・シーザー)役の荒牧慶彦さん、そして麻真皐月(リア)役の佐藤流司さんと、染谷さんと共演経験が多い方ばかりですね。
黒羽麻璃央くん(唐沢省吾<マクベス>役)、高野洸くん(黒江雅道<ロミオ>役)もそうですけど、キャストを聞いたときに「あっ、知り合いばかりだ」って思いました(笑)。今回は撮影期間がすごく短かったですけど、アクションシーンもけっこうあって、その場で作り込む殺陣が多かったんです。そんな状況だったので、(勝手を知っている)このメンバーだからこそ、スムーズに出来たという部分はあったと思います。
──劇団の新メンバーとなる、主役の山井啓介(妖精パック)役には、ABEMAのオーディション番組を勝ち抜いた三浦海里さんが抜擢されました。
唯一共演経験がなくて、「はじめまして」の方だったんですが、若いのに全然物怖じしない性格で、「さすが主役の座を勝ち取っただけあるな」と。主演ということで一番出番が多くて、さらに周りは先輩ばかりだったので相当なプレッシャーがあったはずですが、それを乗り越えてしっかり演じ切って本当にすごいなと思いました。
──7人のメンバーはそれぞれひと癖もふた癖もあるそうですが、もし染谷さんが女性だったら、誰と付き合いたいですか?
みんな性格に難ありなんで、全員厭です(笑)。誰か1人が悪いというのではなく、全員が悪くて、気持ちがバラバラになっていくんです。だから絶対無理ですね。
──では、焼野悠馬にとって「コイツにだけは負けたくない」というライバルはいますか?
それも全員。みんな本当に性格が悪くて、もし現実の世界に存在したら、絶対友達にもなりたくないです(笑)。
堤監督の映像作品に念願の初出演。現場で感じたことは?
──「ゲネプロ★7」は、堤幸彦監督がメガホンを取ったことでも注目されています。
僕自身、子供のころから「金田一少年の事件簿」や「サイコメトラーEIJI」、「池袋ウエストゲートパーク」など、たくさんの作品を見てきました。そんな憧れの方の映像作品に出られて、すごく光栄でした。
──堤監督はどんな方ですか?
お仕事をご一緒させていただくのは、今回が2度目です。最初は朗読劇(※注1)で、「映像が専門の方がどんな演出をするんだろう?」とか、「怖い方なのかな?」といろいろ想像して緊張したんですが、実際にお会いしたら「どんな演技ができるの?」と逆に聞かれて、「僕はこうやりたいです」と答えたら、「よし、それでいこう。好きに演じちゃっていいからね」と言っていただいて、「なんて優しい方なんだろう」と思いました(笑)。普段は物静かなんですが、僕らのようなペーペーの役者の意見も尊重してくれる、懐の深い方です。
※注1:「Reading♥Stage『百合と薔薇』」(2019年)
──今回、焼野悠馬を演じるにあたっては何か指導はありましたか?
具体的な指示は特になかったんですが、リハーサルのときに僕が台本にないことをアプローチしたんですけど、「だったら、こうしよう」とさらに広げてくれました。細かい演技なんですが、逆に僕が台本で書いてあったことをやったかのようにスムーズに採り入れて、カット割りにもちゃんと反映してくれたんです。「でも結局は編集でカットされるんだろうな」と思っていたら、実際に使われていてうれしかったですね。
──クランクアップ後に何か話をされましたか?
撮影期間が短くてバタバタだったので、残念ながら改めてお話しする機会はありませんでした。撮影中もそんなに時間はなかったんですが、僕らの話をしっかり聞いてくれて、現場を明るく盛り上げてくれました。本当に尊敬できる監督さんです。
──では、映画の見どころを語ってください。
7人が1つの作品を作ろうとするんですけど、いろいろな人間関係が複雑に絡み合っていきます。「この先、どうなっちゃうの?」というあっと驚く展開を最後まで見届けてほしいですね。