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【漫画】救いのない展開がつらい…自分の“中身”を確かめようとする少女の壮絶な物語に反響「ラストが見事」

2023/07/04 18:30

中身を入れ替えられた“確信”を持つ少女…初期の名前さんの『異形の確信』が話題
中身を入れ替えられた“確信”を持つ少女…初期の名前さんの『異形の確信』が話題(C)初期の名前/講談社

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、作者・初期の名前さんによる『異形の確信』をピックアップ。

週刊少年マガジン(講談社)主催の漫画賞「マガジングランプリ」にて2023年に2月期奨励賞を受賞した本作。自分の体の中身を確かめようとする少女たちを描き、その壮絶な物語が反響を呼んでいる。初期の名前さんが5月17日にTwitterに投稿したところ、2.3万以上の「いいね」が寄せられSNS上でも話題を集めた。この記事では初期の名前さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。

誘拐され中身が“異形”となった少女 考察したくなるラストシーンも話題に

『異形の確信』より
『異形の確信』より(C)初期の名前/講談社


ある日、公園で遊んでいた少女は突然襲われ誘拐されてしまう。ハッと目を覚ますと、全身を手術台に拘束され、白衣を着た何者かが自分の体を切り開いていた。内臓を取り出され、代わりに得体の知れない“異形”を詰められる感覚。恐怖のあまり涙を流しながらもふと横を見ると、同じように手術を控える見知らぬ女の子の姿があった。

誘拐後、少女は近所の公園で全くの無傷で発見される。さらに犯人は手がかりを残すことなく消え去っていて、両親や周囲に体の話をするも一向に信じてもらえない。しかし、少女にはあの時の身体の痛みや内部を弄られる感覚、悲鳴の記憶が確かにあったのだった。

自分自身が人間なのか、身体の中はどうなっているのかが気になって仕方ない少女。そんな中、少女は偶然にも学校でひとりぼっちでいる全身傷だらけの女の先輩と出会う。先輩も幼少期の同じ時期に誘拐された経験があると言い、意気投合した2人はついに自分たちの中身を確かめようとするが…。

Twitter上では「傑作」「ラストが見事」「なんとも深い」「つらいな…」「救いのない展開だけどものすごく面白かった」など多くの声が寄せられた。また、含みを持たせたラストシーンや謎が残るストーリーについても読者から多くの考察コメントが集まり、反響を呼んでいる。

“夢”で体験した不快感を漫画に 作者・初期の名前さんが語る創作の背景とこだわり

『異形の確信』より
『異形の確信』より(C)初期の名前/講談社


――『異形の確信』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

冒頭にある体の中身を入れ替えられる誘拐シーンの夢を見て、起きた時の強い不快感が印象に残ったので、物語やキャラクターを加え整えて漫画にしました。身体の内容物は夢を参考にして描いたのですが、夢の方が気持ち悪かったです。

――誘拐された少女と先輩、それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?

読み切りなので風呂敷を広げ過ぎないように、キャラクターは一人か二人で考えていました。主人公は大人しい普通の女の子でもあり、破天荒でやんちゃな一面もあるような揺らぎのあるイメージで描きました。一緒に過ごすこととなるキャラクターは学校などの生活の大部分を主人公と共有しないようにしたかったので、同級生やクラスメイトではなく先輩としました。先輩は見た目からバックグラウンドが想像が出来るようにしました。左右非対称かつ細かいデザインにしてしまったので作画に苦労しました。

――「自分の中身は異形だ」と確信する少女がラストに辿り着く“答え”が印象的な本作ですが、本作に込めたテーマや思いがありましたら教えてください。

初めて漫画の賞に投稿する作品でしたので、丁寧にわかりやすく、かつ、実験的な部分もあるように描きました。テーマと問われると難しいのですが、描いている間はとりあえず普段から自分の漫画を読んで下さる方々や周囲の人が楽しんで読んでくれたら嬉しいなと思って頑張りました。

――本作を読み進める中で、コマ割りや各シーンの“見せ方”にも初期の名前さんのこだわりを感じました。作画をするうえでこだわった点や「ここに注目してほしい」というポイントがあれば教えてください。

絵のタッチを切り替えたり、変なコマ割りにしたり、水滴がコマを乗り越えたり、ナイフでページを切り裂いたり、楽しくやりました。ですが、一番気をつけていたのはなるべく直接的にグロテスクな表現をとらないことです。ストーリー上そういったシーンは避けられなかったのですが、担当さんと相談しながら最小限にするようにしました。人体の中身はなるべく同時に描かない、内臓と血はセットで描かない、内臓はポップに描く…等。制約があったからこそ、工夫が必要になり、面白い演出が描けました。素案のグロテスクさではここまで多くの人に読んで頂けなかったと思います。

―― 本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?

終盤のトカゲを探しているシーンが気に入ってます。暗いシーンだけの漫画にはしたくなかったので、主人公と先輩のやりとりはなるべく楽しく描いています。ここは終盤なのもあり、共通する部分がある二人だからこその軽いじゃれあいを描きました。二人の会話から楽しかった夏休みを想像して頂けるとラストシーンの味わいが増すかと思います。

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

『異形の確信』を楽しんで頂き、ありがとうございました。初期の名前は良くも悪くもマイペースですが、また何かあれば読んで頂ければ幸いです。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

■作者Twitter:初期の名前 [ @hyi_nr ]

■初期の名前さんの他作品をHP(リンク集)で読む

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