あの愉快で人騒がせな仲間たちが、変わらぬテンションの高さで帰ってきた。7月13日よりアニメ「はたらく魔王さま!!2nd Season」(毎週木曜夜11:30-深夜0:00ほか、TOKYO MXほか/ディズニープラスで見放題独占配信中)が放送・配信開始した。今回、幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が本作を鑑賞。独自の視点で見どころを紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
和ヶ原聡司によるファンタジー作品が原作
原作は、シリーズ累計発行部数350万部を突破した和ヶ原聡司による人気ライトノベル「はたらく魔王さま!」。異世界“エンテ・イスラ”で敵同士として争っていた魔王サタン&悪魔大元帥アルシエルのコンビと、勇者エミリアがどういうわけか21世紀の日本・東京に舞い降りて、最初の頃に比べたら多少は慣れたとはいえいまだに人間世界に適合できたわけではなく、魔力の使用も制限される中で、それでもたくましく生きていく姿を時にシリアスに、時にコミカルに描き出す。
異世界では魔王や勇者だったといっても、地球や地球人にとっては「それ、何?」でしかなく、生きていくために住居を確保し、生活のために働かなくてはならない。幸い、東京・渋谷区笹塚にどうにか借りられる物件があったので、笹塚を舞台として、妙に人間臭い毎日が繰り広げることになったわけである。大多数の主要キャラは人間ではないというのに。
今シーズンで描かれるのは、ラグエル(CV:松風雅也)たちとの戦いを終え、再び笹塚での日常を過ごす魔王サタン/真奥貞夫(CV:逢坂良太)たち。真奥がアルバイトするファストフード「マグロナルド」の改装も終わり、復職できたことを喜び、クルーとしての新たな目標に燃える一方で、エンテ・イスラから新たな刺客が訪れる…という物語が今後、ドキドキハラハラと繰り広げられていくのだが、第2期続編最初のストーリーとなる第13話は「魔王、職場に復帰する」。嵐の前の静けさという感じで、これがまた、さりげなさを持ち込んでいて実に良い。
すっかりおなじみのキャラクターも続々!
シリーズ再開のセレブレーションということか、魔王サタン/真奥貞夫、勇者エミリア/遊佐恵美(CV:日笠陽子)、アルシエル/芦屋四郎(CV:小野友樹)、ルシフェル/漆原半蔵(CV:下野紘)、人間の佐々木千穂(CV:東山奈央)といった第1期以降不動のキーパーソンに加え、鎌月鈴乃(CV:伊藤かな恵)、アラス・ラムス(CV:木野日菜)など第2期ですっかりおなじみになったキャラクターもたっぷり登場して、なんだかいきなりすごく豪華な展開でもある。
「マグロナルド」はお手洗いも含めて最新機材を導入してゴージャスかつデラックスとなり、しかも2階はおしゃれ系のカフェになった。それにともないカフェラテやカフェオレまでメニューに入って、ソファーの材質もぐんと向上。そこで働く真奥と千穂のテンションも上がろうというものだ。
千穂は自分以外の、例えば真奥や遊佐や芦屋や漆原が人間ではないことを分かっているが、だからといって彼らへの敬意や彼らとの友情が揺らぐことはない。最初はひたすら真奥にストレートな恋心をぶつけていたが、いまは向こうの事情も理解して、それでも何か役に立ちたいと願っている。その彼女の、涙ぐましいまでの奮闘が「魔王、職場に復帰する」の中では描かれていた。
こういう相手へのポジティブな感情があれば、争いなど簡単に起こるわけはなく、しっかりとしたコミュニケーションがアニメとはいえ異世界の者たちと地球の者たちではとれているのに、それに比べて現実は武器屋が儲かるだけであろう戦争とか、言葉の暴力とか、もううんざりすることばかりで、われわれは真奥やちーちゃんの爪のアカを煎じて飲むべきなのだ。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/the-devil-is-a-part-timer
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