杉咲花コメント「託してもらえたことが今にも震える思い」
この役を託してもらえたことに今も震える思いです。市子の、人生に関わった去年の夏。撮影を共にした皆さまと、精根尽き果てるまで心血を注いだことを忘れられません。
その日々は猛烈な痛みを伴いながら、胸が燃えるほどあついあついものでした。あなたやあなたのすぐ隣にいる人へ この映画が届いてほしい。彼女の息吹に手触りを感じられることを願っています。
監督・戸田彬弘コメント「杉咲さんに託すのが僕の願い」
僕が少年期に生きた1990年代。大人になった今振り返ると、少年時代には気づけなかった闇が近くにあったように思います。本作は、1人の女の子である「川辺市子」を、彼女と関わった人達の証言から、その人生を浮かび上がらせました。
偽りが多い世の中で、いつの時代も確かな他者を見つけるのは困難です。多くの他者から見える印象で一人の人間を見つめ、見えてきたものとどう向き合うか。それが現実的な他者との距離であり、接点だと思っています。彼女の取った行動や、彼女の境遇。それを見つめたこの映画を観て「市子」をどう感じて頂けるのか…。
色んな感想を聞きたいです。そして、議論をして貰えたらこの上なく幸せです。その大切な役を、杉咲花さんに託しました。杉咲さんにお渡しするのが僕の願いでした。捉えようの難しい脚本の中に居る「市子」が、杉咲さんの圧倒的な感性とエネルギーによって可視化され、顕在化されていきました。撮影現場のその興奮を忘れられません。
市子は、僕たちの生きる世界線の地続きに、確かに生きている。そう思うのです。沢山の人に、確かなことが届くことを期待しています。