長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『腹ペコ魔人のグルメな魔法 脂過多ブラ』(毎週水曜夜24:25-、東海テレビ)をチョイス。
メシ、メシ、メシ!「腹ペコ魔人のグルメな魔法 脂過多ブラ」
TVerのサムネイルたちを眺めていると、とにかくメシが多い。テレビ番組の半分以上はメシを扱ったものなんじゃないかと感じるほど、メシというコンテンツがアンテナを埋め尽くしている。インターネットでもメシはしょっちゅうバズっているし、古くからのネット用語でしかなかった”飯テロ”という言葉が今じゃ地上波に乗っかっているというのも驚きだ。どんな時代でどんな人間でも腹は減るのだから、メシが天下を取ることは当然といえば当然なのだが、実際その、テレビでメシを見てどうするんですか?というのが私にはある。見せられても食べられないじゃないですか、という。メシは実際に見てナンボ、今すぐ食えないのなら見せないでくれ!とメシ番組が流れるたびに電源を引っこ抜いていたというのは冗談なのですが…
とはいえ、メシを排除してしまったら見られる番組が極端に減ってしまう。それほどメシは世に浸透しており、避けようがないのだ。だから、せめて、自分ではあんまり食べないかな?というようなメシを扱う番組が無いかと探していたら、東海テレビの『腹ペコ魔人のグルメ魔法 脂過多ブラ』というのを見つけた。先にそっちを思いついてからメインタイトルを逆算したんじゃないかと思わされてしまう、”脂過多ブラ”という素晴らしいサブタイトル。番組名だけで、紹介は不要だろう。今回のテーマは背脂ということで、”チャッチャな背脂でGPT(元気・パワー・体力)を高めよう”との事。既に”GPT”数値がそれなりに高い人間にしか産みだせないであろう文面である。
食えば美味いというのは分かっているんだけども、私は背脂マシマシラーメン、みたいなものを食べたことがなくて、尾道で食べた背脂ラーメンは美味しかったけども、背脂がドーンと乗ったようなまぜそばなんかは、どう考えても食べ切れる気がしない。私は店でラーメンを残したら殺されると思っているので、食べ切れそうにないメシは、自分に関係のないモノだと割り切ることができるのだ。もちろん見てるとヨダレのひとつは垂れてはくるのだが、私はもう自分には関係ないと割り切っているから、なんとか耐えられる。私はフルグラを食べながら鑑賞した。
と余裕をこいていたら、一同(アンタッチャブル・オードリー春日・MAX鈴木)が二件目に向かった立川マシマシで、豚ミンチをトロトロの背脂と一緒に炒めた鬼旨そうな”マシライス”というのが出てきて、終わった。あれうまそすぎる。食べたくて食べたくて仕方がない、テレビでメシを見てどうするんですか?