俳優の林遣都、高梨臨、佐藤隆太がトリプル主演を務めるU-NEXT制作ドラマ「MALICE(マリス)」(9月より独占配信)の囲み取材が行われ、3人がオファーを受けた時の心境や、撮影中の印象に残っているエピソードを語った。
撮影現場は「すごく明るく和やか」
同ドラマは、翔東大学の事務局長が殺害された事件の担当所轄刑事・星野尚人(林)と、殺人容疑をかけられた女性・谷村夏帆(高梨)、そしてスクープを狙う週刊誌の記者・丸山奏太(佐藤)の三視点から描いた完全オリジナルサスペンス。事件の裏に潜む「MALICE=悪意、敵意、恨み」に迫り、真相を暴いていく。仕事だけではなく、プライベートにも焦点を当てる多角的な描写で、きれいごとだけでは生きていけない現実世界であがく人々の生き様や、本音が浮き彫りになる。
オファーを受けた時の心境を、佐藤は「3人がメインキャラクターとして各話でフォーカスが当たる切り口は面白いなと思いました。それに、みんなの話を見るのが僕自身楽しみです」と語る。
林は「企画書を読ませていただいた時に、テーマにとても引かれました。3人の視点からという手法を使いながら、弱い立場の人に寄り添った作品になっているので、たくさんの人が共感できると思います」と見どころをアピール。
殺人容疑をかけられる役は初挑戦という高梨は「不安もありつつですが、挑戦したい気持ちがあったので受けさせていただきました。3つの視点で描かれるドラマということで、興味深いなと思いながら台本を読み進めていきましたね」と振り返った。
続けて、撮影現場での雰囲気について、「現場はすごく明るく和やかでした。だけど、この3人で撮影できる機会が少なかったので、3人の時はすごく楽しかったですし、一人の時は別の現場なのかなってくらい違いました。自分自身の表情、芝居が全然違うからこそ楽しかったです」と回顧。
佐藤は、撮影半ばから林と行動を共にするシーンが多くなったと言い「とても楽しい時間でした。お芝居に対してすごく真っすぐだから、こちららも刺激になりました。もともと知り合い同士の役柄じゃないから、そんなに距離感が近いわけではなく、敵対するような動きをすることもあるんですけど、役として対峙している時に真摯にお芝居に向かっていく姿を見て引かれていきました。そこで距離を縮められたかなと思うのでうれしかったです。一緒にできたのが遣都くんで良かった。なんか、ありがとうね」と感謝した。
父親目線で役を分析すると「ツメが甘い」
さらに、週刊誌の記者で、娘の親権を取るという目的のために動く丸山の人間っぽさを尋ねられると「娘の親権を取ることが彼にとっての一つの正義なんです。一方で同じ父親という立場から見て『それにしてはツメが甘いんじゃないか。だとしたら、もっとちゃんとやれよ』っていうことが、ところどころ出てくるんですよ(笑)。でも、そこがすごく好きなんです。どんな人にも得手不得手はあるので、そうした部分が垣間見えると人間らしくて興味が湧きますよね」と言う。
警察官・星野の人間味について、林は「年齢を重ねるにつれ、情熱だけではどうにもならない場面をたくさん経験し、理想と現実のギャップや職業に対する誇りが、自分の感情を抑制している状態から始まるんです。これはどの立場、職業でもあり得ることだなと感じました。乾いているというか、何かを諦めてしまっているところに人間臭さを感じましたね」と思いを口にする。
殺害された事務局長と不倫関係にあり、殺害容疑をかけられる翔東大学国際社会学部の講師・谷村を演じた高梨は「夏帆は『みんな自分のことしか考えていない』と思って誰も信じられず、自分のことだけを信じでのし上がってきた人間なんですけど、そんな夏帆も『結局自分のことしか考えていないな』と思っていました。その中で、容疑者として世間の目に晒されて、周りの人間から言いたい放題言われたり、ニュースの内容を表面上だけ理解して悪意を向けられたり、そのニュース次第で言うことがコロッと変わったりなど、人間の滑稽さを強く感じながら演じていましたね」と自身の役について話していた。
◆取材・文=大野代樹
ライスプレス
発売日: 2021/11/04